医療技術

事故で左耳を失った女性兵士 移植用の耳を「腕で育てる」米陸軍が成功

 米陸軍に所属する21歳の女性兵士が、事故で失った左耳を、自分自身の腕で育てて移植することに成功したと米軍が今月7日発表した。

 

 この兵士は、ミシシッピ州出身のネイティブ・アメリカン、シャミカ・バレイジ二等兵。装甲部隊の補給係として働く彼女は2016年、休暇を利用して故郷の家族を訪ねたあと、テキサス州の勤務先に戻る途中、乗っていた車のフロントタイヤが破裂して吹き飛んで激しく横転し、一命はとりとめたが、頭部や脊髄骨折など重傷を負った。

 

 シャミカさんは当時19歳。搬送されたテキサス州エルパソにある陸軍の医療センターの形成・再建外科医、オーウェン・ジョンソン大佐は、失った左耳の再建手術を提案した。

 

 その手術は、患者の胸の骨から軟骨細胞を採取し、それを3Dプリンターで作った型を利用して耳の形にして、腕の皮下に埋め込んで成長させ、新たな血管を形成させるというもの。

 

 耳の再建手術という選択肢を提案された当初、シャミカさんは強いショックを受け、絶対に受け入れられないと思ったが、傷跡を隠すために人工の耳をつけるより、「もしかしたら成功するかもしれない」と、医師の力に賭けようと考え直した。

 

 ジョンソン医師によると、耳にはこれから動脈と静脈が流れ始め、神経も再生されるため、最終的には耳の感覚を取り戻すこともできるとして、「最終目標は、5年以内に、彼女と初対面のひとであれば、移植した耳だと気づかなくなることだ」と話している。

 

 今回の再建手術は米陸軍にとっては初めてのケースだが、中国では2016年、陝西省西安市の西安交通大学の医療チームが、交通事故で右耳を失った男性患者の腕で移植用の耳の再建に成功した事例が報告されている。この分野で最も有名なのは、米国マサチューセッツ大学医学部の麻酔科医チャールズ・ヴァカンティ氏が実験した、牛の軟骨細胞を人間の耳の形に作り、マウスの背中に移植させた「ヴァカンティ・マウス」だ。

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