医療技術

「痩せるホルモン」分泌促進 ミドリムシから開発 夢のメタボ治療薬へ…産総研

 産業技術総合研究所などの研究グループは、栄養補助食品などの材料として使われているミドリムシから、「痩せるホルモン」の分泌を促進させる物質を作り出すことに成功した。メタボリックシンドロームのマウスに与えたところ、内臓脂肪が減って、体重増加を抑制する効果が確認されたという。

 

 藻類の一種であるミドリムシ(学名:ユーグレナ)は、光合成を行う植物としての性質と、尻尾のような鞭毛(べんもう)を使って動き回る動物的な性質を併せ持つことから、この名前で呼ばれている。

 

 産総研の芝上基成上級主任研究員は、ミドリムシが細胞内で作る「パラミロン」という物質に着目。2000個程度のブドウ糖がつながってできた高分子多糖類で、キノコや海藻にも含まれている食物繊維と同じような働きをするベータ・グルカンだが、パラミロン自体はミドリムシ特有のものだ。

 

 芝上氏は、ミドリムシの大量培養技術を持っている民間企業と共同で、本来は水に溶けないパラミロンを水溶性に変える技術の開発に成功した。この物質を混ぜた高脂肪食をメタボのマウスに5週間にわたって与えたところ、物質が入っていないエサを食べたマウスに比べて、体重増加が50%程度におさえられ、内臓脂肪量は33〜38%減少。また、糖尿病患者の血糖値を低下させる働きがあるインスリン分泌を促すホルモン「GLP-1」が3倍多く分泌されることも確認された。

 

 水溶性に合成したパラミロンが胆汁酸と結びついて排泄されることで、肝臓内でコレステロールから胆汁酸への合成が進み、血中コレステロール濃度が下がる効果がある。

 

 胆汁酸は肝臓内でコレステロールから作られるもので、小腸内で脂肪の消化や吸収を助ける働きをするが、胆汁酸の多くは再利用される(腸肝循環)。パラミロンはこの循環を妨げることで、足りなくなった胆汁酸を作るために、肝臓内のコレステロールがどんどん使われるようになるわけだ。

 

 研究グループは、「糖尿病を含むさまざまなメタボの改善につながる新たな予防・治療手段になる」として、今後大学などの研究機関や製薬会社などと協力して研究開発を進めていくと話している。なおこの技術は、今月24〜26日に「第61回日本糖尿病学会年次学術集会」(東京国際フォーラム)で発表される予定だ。

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