感染症

致死率7割 ワクチンがないニパウイルスで6人死亡 感染拡大のおそれ

 インド南西部ケーララ州では今月19日以降、ニパウイルスに感染して6人が死亡した。犠牲者のなかには、治療にあたっていた看護師も含まれており、感染者は50人近くに増えるおそれがあるという。

 

 ケーララ州保健部の発表によると、アラビア海に面する港町コーリコードや周辺のマラプランでは、今月19日、ニパウイルスに感染して3人が死亡。これまでに患者の治療にあたっていた31歳の看護師を含む計6人の死亡が確認されている。

 

 地元メディア(NDTV)の報道によると、22日にもコーリコード医科大学病院の隔離病棟で治療を受けていたふたりが死亡。現在、この患者を含む48人の血液サンプルが国立ウイルス研究所に集められ、ウイルス感染の有無を調べているという。

 

 ケーララ州政府は21日、国家保健省と世界保健機関(WHO)に報告し、感染拡大を防ぐため専門家チームの派遣を要請した。

 

 WHOによると、ニパウイルスは1997年にマレーシアで見つかった急性脳炎を引き起こしたウイルス。当初は日本脳炎が原因だと考えられていたが、各地の養豚業者の間で流行が散発的に続き、1999年2〜3月には週ごとに数十人規模で患者が増加し、半数が死亡するという大流行があった。以来、1998年から2005年にかけて、マレーシアやバングラデシュを中心に600症例が確認されている。

 

 マレーシアではウイルスに感染したブタとの接触が感染原因だとされたが、2004年にバングラデシュで起きた大流行では、ウイルスを保有するフルーツコウモリによって汚染された果物から感染したと考えられている。致死率はマレーシアの40%より高く、60〜74%で、ヒトからヒトへの感染の可能性もあるとみられている。

 

 ニパウイルスに感染すると、急激な発熱、頭痛、めまいなどの急性脳炎の症状が現れ、患者の半数以上で意識障害や脳機能不全などが起こり、回復後も神経障害や眼球が動く「人形の眼」症状などの後遺症が残ることが報告されている。治療は日本脳炎に準ずるが、ワクチンなどによる予防法はなく、日本国内では診断した医師はただちに最寄りの保健所に報告しなければならない「4類感染症」に指定されている。

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