感染症

まぶたから唇へ…皮膚の下をはいまわる!人では珍しい寄生虫 ロシア

 

 ロシア西部に住む32歳の女性が最近、左目の下にできたおできが皮膚の下を動いて数日後にはまぶたや唇に移動している事実に気づき、愕然とした。通常ならば人体には感染しないフィラリアに寄生されていたのだ!

 

 米マサチューセッツ内科外科学会が発行する医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に今月21日に掲載された症例報告書によると、この女性はウクライナとの国境に近いロストフ州の州都ロストフ・ナ・ドヌーに暮らす32歳。

 

 病院を訪れる2週間前に左目の下におできができたことに気づいたが、特に痛みも感じないため、すぐ治るだろうと思ってそのまま放置。おできはいつのまにか消えたが、その5日後、今度は左目のまぶたの上に赤みがかった吹き出物が3つできていることを発見。

 

 不安を感じてスマートフォンで自撮り写真を撮っておいたが、このときも病院には行かなかった。10日後、今度は上唇が急激に腫れあがり、チリチリしたかゆみを感じた。ここにきて、彼女は最近、モスクワ郊外の農村地帯に遊びに行ったときに、たくさんの蚊に刺されたことを思い出し、ロストフ州立医科大学の病院を受診した。

 

 検査の結果、動くおできの正体はイヌやネコ、キツネなどに寄生するフィラリア線虫だと判明。すぐに外科手術で取り出されたのち、無事回復したが、通常フィラリアは人間には寄生しないため、非常に珍しい症例だという。

 

 日本ではイヌの病気として知られるフィラリアは、蚊によって媒介され、犬の心臓や肺の血管に寄生するながさ15〜25センチの線虫だ。

 

 通常、人間に寄生することはないが、ヨーロッパやアジア、アフリカのごく一部の地域で報告されており、32歳の女性を治療したウラジミール・カルテシェフ教授によると、ロシアとウクライナでは1997年以来、この感染症が4000件以上発生しているという。

 

 2014年に感染症に関する専門誌『International Journal of Infectious Diseases』に掲載された論文では、ロストフ州立医科大学で治療した236人の患者の35%が、「顔の下を何かがはいまわる違和感」を訴えていたと報告している。

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