歴史

防災歳時記8月17日国鉄三大ミステリーと推理作家

 今から64年前、1949年(昭和24年)の今日8月17日、福島市を通過中だった青森発上野行き上り列車が突然、脱線転覆して機関車の乗務員3人が死亡した。

 

 いわゆる松川事件。

 

 現場検証の結果、線路の継ぎ目が細工されており、意図的に脱線を狙った事件だと分かる。

 

 この年の夏は、下山定則国鉄総裁が出勤途中で失踪し、常磐線の線路で礫死体で発見された「下山事件」、中央線三鷹駅で無人列車が暴走し、死者6人を出した「三鷹事件」と「怪事件」が続き、「国鉄三大ミステリー事件」と呼ばれた。

 

 当時、中国では共産党の勝利が決定的となり、朝鮮半島でも38度線をはさんで現在の北朝鮮が対峙、日本を占領していたGHQは、急速に「反共」へ日本の占領政策の舵を切っていた。

 

 経済立て直しのためにドッジ・ラインに基づく緊縮財政を実施、国鉄(現JR)にも10万人近い人員整理を迫っていた。

 下山総裁は、このリストラの陣頭指揮をとっていたことから、3つの事件は労働組合・共産党系による犯行とされ、組合員20人が逮捕された。

 

 しかし、裁判の途中で被告らの無実が次第に明らかにされ、作家・知識人らも組合員の支援運動に参加する。

 

 その中には推理小説の大御所 松本清張の姿もあった。

 

 この3つの事件には、当初から「労働組合・共産党を陥れるためのGHQ特務機関による陰謀説」がささやかれていたが、事件から9年後の1958年(昭和33年)、被告弁護団に「真犯人」からと称する謎の手紙が届く。

 

 弁護団はジャーナリストらとこの手紙の主を調査するが、これまた推理小説の巨匠 「白昼の死角」などの著者 高木彬光も登場し、この手紙を「真犯人からのもの」と断定。

 

 巨匠は「犯人は日本が赤化(共産主義化)目前に見え、事件に関与した」などとプロファイリングする「名探偵」ぶり。

 

 結局、事件の真相は迷宮入りのまま、1963年(昭和38年)に被告全員の無罪が確定する。

 

 事件の真実はいまだ藪の中だが、戦後の混沌とした時代に起きたミステリー。

 

 そして警察とは別にジャーナリストや推理作家までが入り乱れて真犯人を捜査・推理する。

 

 現代で謎の事件が起き、東野圭吾や宮部みゆきが警察に代わって推理するなんて、到底 現実には考えられない。

 

 たった?68年前だが、時代背景も人のあり方も今とはまったく違う日本だった。

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