歴史

防災歳時記9月2日シーランド公国と尖閣諸島

 今から46年前、1967年の今日9月2日、世界で最も小さい国家が誕生した。

 

 シーランド公国。

 

 この日、英国の退役陸軍少佐パディ・ロイ・ベーツは北海の公海上にある第二次大戦時に作られた英国の海上要塞「フォート・ラフス」を占拠して、独立を宣言、自らを「ロイ・ベーツ公」と名乗った。

 

 シーランド公国の場所は、英国サフォーク州の沖合10キロ。

 

 強制退去させようとした英艦船にシーランド公国は威嚇射撃を行ったが、なんと裁判所の判断は、「領海外なので英国司法の管轄外」。

 

 建国から11年後には、「新興独立国家」らしく、クーデターまで発生する。

 当時、ロイ・ベーツ公は同国でのカジノ運営を企て、西独の投資家アレクサンダー・アッヘンバッハを首相に任命するが、このアッヘンバッハ首相がクーデターを企てる。

 

 ロイ・ベーツ公のご子息マイケル・ベーツ公子を人質にとり、ロイ・ベーツ公を国外追放にするが、公は英国内で仲間を募り、反撃。

 

 今度はアッヘンバッハ首相が「反逆罪」の罪で、同国内で投獄される。

 

 西独政府は自国民が拘束されていることから、英国政府に救助を要請するも、英国政府の回答は、「国外ですから」。

 

 しかたなく駐ロンドンの西独外交官が、シーランド公国へ釈放交渉に赴く。

 

 ロイ・ベーツ公の喜んだことと言ったらない。

 

 「西独がわが国を国家と認めた」

 

 アッヘンバッハ前首相は、あっけなく釈放された。

 建国から46年。

 

 ロイ・ベーツ公も昨年10月に亡くなり、現在の元首はご子息のマイケル・ベーツ公。

 

 もちろん国連にも加盟していなければ、シーランド公国を国家として承認した国はない。

 

 現在の人口は4人。

 

 主要な財源は、寄付と同国ホームページで売られている記念コイン、マグカップ、国旗などのグッズ。

 

爵位や騎士団などの『名誉』もお金で買うことができる。

 

「Lord(卿)・Baron(男爵)」は29.99ポンド(約4560円)。

「Knight(ナイト)」は99.99ポンド(約1万5200円)。

「Count(侯爵)」は199.99ポンド(約3万420円)。

 

などとなっているほか、同国内の「領地一区画」も19.99ポンド(約3040円)と良心的価格?で販売されている。

 日本人でも西川きよし氏がテレビ番組の企画で「Lord」の称号を購入しており、同氏は「シーランド公国の西川卿」となった。

 

 マイケル公は、8月にご結婚されたらしく、同国公式フェイスブックページで「ロイヤルウェディング」とのたまわっているが、英国王室と違い、こちらの「ロイヤルウェディング」を取り上げるマスコミはほぼ皆無。

 

 しかし、最近の公のフェイスブック投稿を見ると、同国の夕暮れは、ことのほか美しいようだ。

 さて、なぜ長々とシーランド公国のことを書き綴ったかと言えば、ふと妄想してしまったのだ。

 

 ある日、中国人か第三国人が尖閣諸島を占拠し、「尖閣公国」の独立を宣言する。

 

 これが日本人だったりすると、最悪にたちが悪い。

 

 間髪入れず中国政府は、「尖閣公国」を正当な国家として承認し、包括的な経済協力協定と安全保障条約を締結する。

 

 日本政府は「間接的な侵略だ!」、と国連安保理に提起するが、中国政府の答えはこうだ。

 

「魚釣島の領有権については、日中間で係争中であり、現時点でそれがいずれの国に帰属しているかは明確ではない。

よって地域の平和と安定を望むわが国は、自国の主張を取り下げ、正当な公国政府を承認する。

これを非難する行為は、過去の歴史を顧みない侵略主義と言えるだろう。

だいたい公国の主権を主張しているのは他でもない『日本人』である」

 

 ……、そうか!こういう時のために、尖閣諸島を国有化したのだった。日本政府は再反論する。

 

「いえ侵略なんて滅相もない。

『国有地を不法占拠している人を逮捕する』という、通常の警察権を行使するだけです。

わが国に領土問題なんて存在しませんから」

 

 『警察権の行使』なので自衛隊は使えない。

 

 中尖安保条約に基づいて中国人民解放軍が待ち構える尖閣諸島に、「不法侵入者」を逮捕しに行く沖縄県警の人たちはたまったもんじゃない。

 

 「他国の領土をかすめ取る一番手っ取り早い方法は『独立』させちまうこと」

 

 「ヨタ話」と笑うかもしれないが、このやり口は、20世紀前半まで世界の列強(日本も含む)が、『侵略の常套手段』として使っていたそのものだ。

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