環境

北極海の酸性化急速に進行 10年で生物へ深刻なダメージ

 温暖化の影響により北極海の酸性化が予想以上に急速に進んでおり、生物への深刻な影響が懸念されるとの米国地質調査所などの研究チームの論文が、米科学誌プロスワン電子版に11日付けで掲載された。

 

 同論文によれば、酸性化が進行している最大の原因は、温暖化により北極海の海氷が溶けたこと。

 

 空気中の炭酸ガス(二酸化炭素)は、海の表面から海中に溶け込むが、これまで表面を氷で閉ざされていた海域が温暖化により大気にさらされるようになったため、急激に二酸化炭素が溶け込み、酸性化が進んでいる。

 

 つまり大気中の二酸化炭素濃度が増え、温暖化が進むと海氷が溶け、それによりさらに北極海の酸性化が進むという、大気中の二酸化炭素濃度と北極海の酸性化の間には、言わば「負のスパイラル」が形成されている。

 

 海洋の酸性化が進むと、サンゴからエビまで、海の生物の骨格や殻を作るために不可欠なカルシウムが生物の体内で欠乏していくことが、これまでの研究で知られている。

 

 北極海の場合はさらに、海氷が溶けて発生する大量の「真水」により海水が薄められ、カルシウムや炭素などミネラルの海中濃度が低下していることも、生物が骨格や殻を形成することに悪影響を生んでいる。

 

 同論文によれば、特に海氷の溶融が激しい「カナダ海盆」の20%の地域では、他の海域では類を見ないほど急激にこうした現象が現れているとのこと。

 

 同論文では、このまま酸性化が進めば、10年後に北極海の海水は、生物が骨格や殻を形成するのに適さない深刻な低ミネラル状態に陥ると警鐘を鳴らしている。

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