歴史

防災歳時記9月15日 カスリーン台風 名前と災害の記憶

   1号、2号、3号……。


   何とも味気ない番号で識別される日本の台風。一方、米国では、台風を区別するのは人の名前だ。甚大な被害をもたらした2005年の「カトリーナ」や、2012年の「サンディ」は記憶に新しい。


   ところが、実は日本でも、かつて人名で台風が呼ばれていた時期があった。


   今から66年前の今日、9月15日。


   マリアナ諸島の東方で発生し、北上を続けていた台風「カスリーン」は、15日未明に紀伊半島沖に最接近した。


   1947年の当時は終戦から間も無く、日本は連合国軍の占領下にあった。


   このため、台風の名称も米国と同様にアルファベット順で女性名が付けられ(米国では男女同権の考えから1979年以降、男性名も付けられている)、この慣習は1953年まで続いたのだという。

   カスリーンは中心気圧970ヘクトパスカル(推定)、最大風速45メートル。遠州灘沖合から房総半島の南端をかすめて通過し、上陸こそしなかったものの、台風に刺激されて前線が活発化。関東を中心に14日から15日にかけて500〜600ミリの猛烈な雨が降り、利根川や荒川の堤防が決壊。埼玉東部から東京23区東部の広い範囲で家屋の浸水が発生し、死者1077人、行方不明者853人という大惨事となった。


   さて、奇しくも2013年の現在、16日までの3連休に、台風18号が日本列島に接近している。

 

   こちらは「18号」とシンプルだが、実は国際名では「マンニィ」という名前がついている。台風には従来、米国が人名をつけていたが、北西太平洋と南シナ海で発生する台風については2000年から、政府間組織である台風委員会の取り決めで、エリア内の各国が提案した名前140個を順番につけることになった。

 

   「マンニィ」は香港が命名し、海峡の名前を指す。年間に発生する台風は平均25.6個なので、約5年で台風の名前が一巡することになる。

 

   日本からはなぜか星座にちなみ、「ウサギ」「カンムリ」「コップ」などの名前が挙がっているが、台風委員会では特に大きな被害をもたらした台風の名前は「永久欠番」として、繰り返し使用しないことも検討されるという。

 

   番号だけでは覚えづらい。台風に名前をつけることは、かつての室戸台風(1934年)や伊勢湾台風(1959年)が今でも折に触れて人口に膾炙する例をみても、被害の教訓を後世に伝えるためには役に立つだろう。 

 

   ただ、そんな台風に何度も遭遇したくはない。少なくとも、今、日本に近づいている「18号」が爪痕を残すことなく通り過ぎてくれることを祈るばかりだ。

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