宇宙

"草食系"ブラックホールでもガス噴出 国立天文台が観測

   活動の穏やかな"草食系"ブラックホールにも「ジェット」と呼ばれるガス噴流があることが、国立天文台の研究チームによる観測で明らかになった。ブラックホールの仕組みの解明や、中心部の「黒い穴」の直接撮影にもつながる成果という。


   多くの銀河の中心には、太陽の100万〜100億倍もの質量を持つ巨大ブラックホールがあり、一部は物質を吸い込むだけではなく、光速に近い速度で数千〜数万光年にわたってガスを噴出している。


   しかし、こうした"肉食系"は1割とされ、大多数のブラックホールは活動が弱いために観測が困難で、「ジェット」があるかどうかも不明だった。


   そこで、国立天文台の秦和弘研究員らは、全米10台の電波望遠鏡を組み合わせ、地球サイズの実効口径を持つ観測技術を実現。地球からおとめ座の方向に約2900万光年離れた「ソンブレロ銀河」の中心にある"草食系"の巨大ブラックホールを観測した。


   約140マイクロ秒角という、人の視力でいえば「50万」の高解像度を使い、強い重力で光さえも脱出できないとされる「シュバルツシルト半径」のわずか数十倍の領域まで迫ることに成功。全長1光年の短いガスが南北に噴出している様子をとらえ、ジェットはブラックホールに共通する現象である可能性が高まった。

 

   ただ、ブラックホールの詳しいメカニズムは未解明の部分が多く、現在、国際的に「視力300万」という今回の観測技術を上回る高解像度を目指すプロジェクトが進行中だ。国立天文台も参加しており、研究チームは「現代科学の究極目標の一つ、ブラックホール本体の撮影も数年以内に目指したい」としている。

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