歴史

防災歳時記9月29日 ウラル核惨事に見る汚染水問題の恐ろしさ

 今から56年前、1957年の今日9月29日、ソビエト連邦で「ウラル核惨事」と呼ばれる原発事故が起きた。

 

 原爆用プルトニウムを生産する再処理施設の冷却装置が不具合を起こして爆発。上空1000メートルにまで放射性物質が舞い上がり、周囲2万平方キロメートルが汚染されたのである。

 

 しかし、恐ろしいことに当時のソ連政府はこの事実を隠蔽したまま、自国の兵士に事故後の処理作業をさせ、また、近隣住人に何も言うことなく、放射性物質の含まれた廃棄物を地元のテチャ川に流し続けた。

 

 その結果、テチャ川の水を飲料水にしたり、川魚を食したりしていた住民たちは内部被曝という悲劇に見舞われ、当時の子や孫の世代になった現在でも、多くの人々が甲状腺疾患や知的発達障害、筋腫、関節炎、骨粗しょう症などに悩まされている。

 

 しかも、である。2000年から2004年までの間にも放射性廃棄物がテチャ川に流されていたことが判明。後に国から補償金が支払われることとなったが、その金額は月に500円にも満たない住民が多いという。

 

 それでも、政権批判が禁じられていたソ連時代の恐怖の名残があり、政府に文句を言える村人は少ないそうだ(2013年5月12日・産経ニュース参照)。

 

 ウラル核惨事は、国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル6の「大事故」と位置づけられている。

 

 その上のレベル7で「深刻な事故」と評価された福島第1原発では、ご存知の通り、最近は事故そのものではなく、汚染水漏れも深刻化している。

 

 毎日のように、新たな問題が発覚しており、26日には港湾内に設置されたシルトフェンス(汚染水拡散防止用のフェンス)が破損したばかりだ。

 

 シルトフェンスは、安倍首相が五輪の最終プレゼンで、汚染水問題の「状況はコントロールされている」と断言した「根拠」となっていたものだが、その脆さが早くも浮き彫りになってしまった。

 

 8月、福島第1原発の事故とは別に、国際原子力事象評価尺度で汚染水問題がレベル1「逸脱」からレベル3「重大な異常事象」へと引き上げられた。

 

 子や孫の世代になっても甲状腺疾患や知的発達障害などに苦しまされているというウラル地方の住民たち。汚染水による内部被曝は我々の想像通り…、あるいは想像以上に恐ろしいのかもしれない。

 

 テチャ川の悲劇を絶対に繰り返してはならない。

 

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