歴史

防災歳時記10月19日真の国際競争力とは

 今から31年前、1982年の今日10月19日、一つの自動車メーカーが7年間という短い歴史に終止符を打った。

 

 デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)

 

 そう、あの映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にタイムマシンとして使われた名車(珍車?)デロリアンを製造していた企業だ。

 

 倒産から7年前、当時ゼネラルモーターズ(GM)の副社長だったジョン・デロリアンは『理想の車』を作るためGMを辞職し、DMCを設立した。

 

 もしも「一財産できたらどうするか?」

 

 「マンションを買う」、「別荘を買う」、「貯金する」…。

 

 人間には大きく分けて2つのタイプがいるらしい。

 

 大金持ちになったら「ぜいたくな暮らし」や「安定した暮らし」、はたまた「名誉」を追いかけるタイプと、もう一つは、せっかく安定した暮らしを手に入れたにも関わらず、それを投げ打っても自分の「夢」を追い求めるタイプ。

 

 ジョン・デロリアンは後者のタイプだった。

 

 6年間の開発期間を費やして、完成したDMC唯一のモデル、それが「DMC-12」こと、あのデロリアンだ。

 数々の名車を生み出した天才デザイナー ジウジアーロがデザインした異形?とも言えるフォルム。

 

 そのボディは「錆びない」ためにステンレス製だった。

 

 当時のオーナーたちは、「どの台所クレンザーがデロリアンに最適か?」を議論していた。

 

 しかし、社長のジョン・デロリアンがコカイン所持容疑で逮捕されたこともあり、会社は資金繰りが立ちいかなくなり、あっけなく倒産。

 

 だが、それから30年以上経っても、デロリアンのオーナーは、この珍車のパーツを購入することができる。

 

 DMC倒産後、テキサス州の実業家ステファン・ウィン氏がDMCの工場設備を買い取ったからだ。

 

 いやそれどころか同氏は、2013年、つまり今年までにDMC-12を電気自動車(EV)化して再生産するとしている。

 何が人々をこの「へんてこりん」な車に惹きつけてやまないのか?

 

 そういえば、EVのスポーツカーを製造しているテスラモーターズも一歩間違えればデロリアンに限りなく近い匂いがする。(テスラは大人気で順番待ちとなっているが)

 

 いや逆にデロリアンもうまく行けば、「テスラ」のようになっていたはず。

 

 一人の人間が考える「理想の車」、つまりデロリアンは決して使いやすい車でも、万人受けする車でもない。

 

 だが恐ろしいほどの存在感を持って、一部の熱狂的なファンを魅了してやまない。

 

 マーケティングデータのかたまりから作り出されるような昨今の国産車は、多くの人に受け入れられるデザインで、人々を安心させる製品だが、そのためか、どのメーカーの車を見ても変わりばえしない印象が感じられる。

 

 安倍首相は「世界での競争力強化」をうたうが、真の国際競争力の源泉となるのは、デロリアンやテスラのような「存在感」なのか?それとも日本企業が得意の「万人受け」なのか。

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