歴史

防災歳時記11月19日 オリンピック開催すると不況になる?

 今から48年前、1965年(昭和40年)の今日、11月19日に、今に至るすべてが始まった。

 

 当時の佐藤栄作内閣は、この日「赤字国債」の発行を閣議決定した。

 

 なぜ「赤字国債」を発行しなければならなかったのか?

 

 その原因は東京オリンピックにあった。

 

 前年にあったオリンピックの、いわゆる「反動不況」で税収が落ち込み、赤字国債でその補填をしなければならなくなった。

 

 「えっ、オリンピックを開催すれば景気は加速するんじゃないの?

 

 確かにオリンピック開催まではその通り。

 

 だが、オリンピックは一種の巨大な公共事業。

 

 国や企業は前倒しで投資するし、人々もうかれて消費が増えるから、開催までは良いが、「前倒し分」や「うかれた分」は、その後で必ず反動がくる。

 

 そもそも東京オリンピックだけでなく、「オリンピックを開催した国は不況になる」というジンクスがあるのをご存知だろうか?

 

 例えば、アテネオリンピック(2004年)や北京オリンピック(2008年)。

 

 多額の赤字国債発行で、「財政危機」を迎えたギリシャだが、アテネオリンピック関連施設を作るために赤字国債をガンガン発行していた。

 

 中国もしかり。オリンピックのために作った施設は、その後も維持管理のコストがかかる。

 

 作ったはいいが、長期的に見ればそのコストは建設費だけじゃない。

 

 日本はすでにインフラの整っていない「新興国」ではないから、かつての東京オリンピックほどには巨額の先行投資は行なわないだろう。

 

 だからギリシャほどには心配ないだろうが、それは一方で、「先行投資が少ないなら、どれほどの景気浮揚効果があるの?」ということにもなる。

 ところで、日本政府の財政運営のルールを規定している「財政法」の第4条にはこう書かれているのをご存知だろうか?

 

「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」

 

 これは「国の予算の原資は、税金でも競馬でも良いけれど、国債とか借金の類いをあてにして予算を組んじゃダメだよ」ということだ。

 

 この後には、ただし「建設国債」については、「何かを建設する」=「将来世代のためのもの」ということだから、特別に国会の議決を経れば、発行してよいという例外が規定されている。

 

 そう、この国には本来、建設国債ではない「赤字国債」の発行は認められていないのだ。 

 

 にも関わらず赤字国債を発行するためには、年度ごとに「特例公債法」を国会で議決しなければいけない。

 

 この「ウルトラ例外措置」を最初にやってしまい、「禁断の果実」を食べてしまったのが、今から48年前ということ。

 

 最初は「例外中の例外」だった「赤字国債」だが、オイルショックの後遺症から歳入減となった1975年(昭和50年)からは「ほぼ毎年発行するのが当たり前」になっていった。

 

 そして2012年度に至っては、財政再建など諸々の条件を付けた上で、「特例公債法」を「単年度」ではなく、「3年間」とした。

 

 こうした経緯で、今回めでたく?「消費税率引き上げ」と相成ったわけである。

 

 増税しても、景気が中折れしてしまえば、結果として歳入減になるという。

 

 それはその通りだが、一方で、例えばオリンピックのように、そこに景気浮揚効果があるとすれば、いつかはその反動がくる。(先行投資が少なければ反動もない代わりに景気浮揚効果もないが)

 

 とすれば、この48年来の議論は、「歳入を増やす(それが増税であれ景気浮揚であれ)」より前に、「歳出を減らす」という、当たり前の、しかしそれだからこそ「かなり痛い」ことをもっときちんと話し合う必要がある。

 

 「ツケ」を返すのに、「他人からもっと金を取る=増税」とか「金をばらまいて景気を良くする」とかいった議論をする前に(仮にしたとしても)、「少々不自由でもみんなでがまんして予算を使わない」と思うのが、国家予算でも個人の家計でも「まっとうな話」だということ。

 

 

「お父さん、たまっている住宅ローンや車のローンどうするの?」

 

「な〜に大丈夫。景気が良くなれば給料も増えるさ!だから今晩は外で夕食だ!」

 


 いくら「有効需要の理論」を信じたとしても、「まず家計を切り詰めよう」とは言わない、こんなお父さんだったら何だか危なっかしい……。

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