歴史

防災歳時記11月22日 ダラスの暑い日とケネディ新大使

 今から50年前、1963年の今日11月22日、米国テキサス州ダラスでジョン・F・ケネディ大統領がパレード中に暗殺された。

 

 この日、NHKは人工衛星を使った日米リレー中継の実験を行なっていた。

 

 翌年に東京オリンピックを控え、「人工衛星による日米生中継」が日本の悲願だった。

 


 米航空宇宙局(NASA)、郵政省(現総務省)、NHK、KDD(現KDDI)、電電公社(現NTT)は、この日のために綿密な準備を進めていた。

 

 NHKの放送台本のタイトルは「日米テレビ宇宙中継」、番組の主旨は「宇宙を経て民主主義の崇高さを述べるケネディの顔と声を中継する」はずだった。

 

 しかし……。

 なぜかNHKのテレビ画面には、民放の特派員が登場した。

 

 

「私は、毎日放送ニューヨーク駐在員の前田治郎であります。

輝かしい日米テレビ中継の第2回目テストであります。

その電波にこのような悲しいニュースをお送りしなければならないのは誠に残念に思います」

 

 

 かつて文明批評家マーシャル・マクルーハンはテレビの本質について、「テレビはハプニングのメディアである」と看破したが、それから50年の激動のテレビ時代を象徴するかのように、日本人にとってテレビの登場は「衝撃的なハプニング」とともに始まった。

 

 ケネディ大統領の葬儀の際に、沿道で凛々しく敬礼する幼い長男の姿が、さらに人々の涙をそそった。

 

 そして一緒にいる女の子が、今回、駐日米国大使に就任したキャロライン・ケネディ氏。

 

 一定以上の年齢の日本人なら誰でも、その幼い姿を見たことがある「超有名人」だ。

 

 天皇陛下にオバマ大統領からの信任状を届ける「信任状奉呈式」のために馬車で皇居に向かったケネディ新大使を見るために沿道には数千人の見物客が集まった。

 

 政権から一般国民まで、日本中「ケネディ新大使歓迎ムード一色」だが、過剰な期待は禁物。

 

 相手の顔をよく知っているのは、こちらの一方的な事情だ。

 

 同氏の訪日経験は20歳の時に訪れた広島と、新婚旅行で訪れた奈良・京都の2回。外交経験はなし。

 

 少なくとも、こっちが親近感を持つほどに、ご本人は日本に対し、それほど「深いご縁」は今までなかったはず。

 

 

 自分が相手を好きだからって、相手も自分のことを好きとは限らない。

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