歴史

防災歳時記12月1日 もう一度エイズの話をしよう

   12月1日は「世界エイズデー」だ。


   1988年、エイズの蔓延を防ぎ、エイズ患者やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者への偏見をなくすため、世界保健機関(WHO)によって定められた。


   今年はちょっと関心高く、この国際記念日を意識する人も多いのではないだろうか。


   改めておさらいすると、エイズの正式名称は後天性免疫不全症候群(Acquired Immune Deficiency Syndrome=AIDS)。HIVが免疫細胞に感染することで、体を病気から守る免疫力が低下。悪性リンパ腫や皮膚がん、HIV脳症などを発症する。「HIV感染者」が「エイズ患者」になるのは、これら23の指定疾患を発症した時だ。


   起源はカメルーンのチンパンジーが有力な説とされ、元々霊長類を宿主としていたサル免疫不全ウイルスが突然変異で人にも感染したと考えられている。


   1950年代から似たような疾患は報告されていたが、初の正式な症例報告は1981年。米ロサンゼルスに住む同性愛者の男性だった。


   それから10年ほどで感染者は100万人に膨れあがる。正体不明の死の病の恐怖は、同性愛や麻薬常習の感染者が多かったために偏見を伴って世界中に広がった。1980〜90年代はエイズが世界を席巻したと言っていいだろう。

   幸いなことにエイズ治療は日進月歩で発展を遂げ、現在では抗ウイルス薬を一生継続する必要はあるが、適切に服用すれば寿命を全うすることも可能になっている。


   ただ、治療の進歩は一方でエイズへの関心を薄れさせた。日本では1985年に初の患者が報告されているが、以降の感染者・患者数は世界的に見て低い水準にあり、保健所などでの検査件数も2008年をピークに減少している。


   「エイズ」という言葉に日常で接することも少なければ、たとえ耳にしても右から左に聞き流す人が大半だったのではないだろうか。


   そんな状況に平手打ちをくわらせたのが、昨今ニュースになっている「献血によるHIV感染」だ。


   HIVに感染した男性の血液が検査をすり抜けて2人に輸血され、うち1人がHIV陽性と診断されたのである。男性は"検査目的"で献血に行った疑いもあり、この思わぬ事件は、実は感染者・患者数が緩やかに「増えている」日本のエイズ事情に、皮肉にも目を向けさせることになった。


   厚生労働省によると、2012年に新たに報告されたHIV感染者数は445人(速報値)。これは10年前の1.4倍にあたる。同様に患者数は1001人で、1.6倍。エイズは日本でも決して"過去の病気"ではないのである。


   目を世界に転じれば、アジア・アフリカの途上国を中心に、HIV感染者は3530万人(2012年末)に上る。年間で新たに230万人がHIVに感染し、160万人がエイズによって命を落としている。


   治療法が進歩しても、エイズが母子や恋人同士の間で感染する病であることは変わりがない。エイズデーを機会に、いま一度エイズについて身近な人と話をしてみてはどうだろうか。

 

   今年のエイズデーのテーマは「恋愛の数だけHIVを語ろう」だ。

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