歴史

防災歳時記12月9日 東シナ海防空識別区で戦闘は起きるか?

 中国が尖閣諸島を含む公海上に「東シナ海防空識別区」を設定したことで、日米中の関係は緊迫の度を増している。

 

 菅義偉官房長官は、記者会見でたびたび「不測の事態を招きかねない非常に危険なもの」と口にしている。

 

 しかし、本当に「不測の事態」は起きるのだろうか?

 

 結論から言えば、起きない気がする、というか、少なくとも中国側は「起きない」と踏んでいる気がする。

 

 それはなぜか?と問われれば、今から26年前、1987年(昭和62年)の今日12月9日に、そんなことをすればどうなるか?が実証済みだからだ。

 

 この日、午前10時30分ごろ、Tu(ツポレフ)-16など4機のソ連空軍機が宮古島のレーダーに捉えられた。

 すぐさま航空自衛隊のF-4戦闘機がスクランブルをかける。

 

 空自は、英語・ロシア語で警告、さらにソ連機に見えるよう翼を振って「退去」を指示。

 

 しかし午前11時20分ごろ、1機のTu-16が北に方向転換し、沖縄本島上空へ侵入、米軍や空自基地上空も通過した。

 

 F-4は警告射撃の許可を求め、 20ミリ機関砲で1回目の信号射撃を行ない、「着陸」を指示。

 

 11分後にソ連機は領空外に出るが、さらに10分後の午前11時41分に、沖永良部島・徳之島上空へ侵入し、F-4は2回目の警告射撃を行なう。

 

 数分後、ソ連機は悠々と領空外に去っていった。

 航空自衛隊による対領空侵犯措置の手順は、開示されていない「領空侵犯に対する措置に関する達」という内訓に規定されているので、本当のところは分からないが、領空侵犯機に先制攻撃でもされない限り、攻撃許可は下りないと思われる。

 

 ソ連軍用機が警告に返答もしないで沖縄本島上空に侵入するってことを、逆の立場で考えてみてほしい。

 

 空自の戦闘機が中国本土に領空侵犯して警告にも従わなかったとしても撃ち落とされないと思えるだろうか?

 

 北朝鮮領内に空自が領空侵犯して、攻撃されないで帰ってくることなどあり得るだろうか?

 

 中国やロシアから見れば、日本の方が「変わった国」だ。

 

 国際常識から見れば、「専守防衛とか言ってるけど、それは建前でしょ。本気で領空侵犯なんかしたら、攻撃してくるでしょ」と考えるのが普通だ。

 

 だからソ連は、26年前に、日本の専守防衛が「建前」なのか「本音」なのかを確認した。

 

 そして驚くべきことに、日本のそれは「本音」だったことが立証されたのだ。

 

 当時の在日米軍司令官は、その後、離日にあたっての記者会見で、「実はこの時、米軍機が上空で事態の一部始終を把握していた」と打ち明けている。

 

 「平和憲法」を押し付けた米国でさえ、日本が「本番」になっても「建前」を貫くか半信半疑だったのだろう。

 

  という事件があったことは、中国国防部もよくご存知のはずなので、互いに重複する「防空識別圏」を設定して「スクランブルの応酬」をしても、最悪警告射撃 があるだけで、中国側が手を出さない限りは、「不測の事態」は起きず、「状況は中国側のコントロール下にある」、と考えるのは至って合理的な推論に思える。

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