歴史

防災歳時記12月10日 三億円事件と犯罪の進歩

 今から45年前、1968年(昭和43年)の今日12月10日、東京都府中市で『三億円事件』が発生した。

 

 あれから45年経った今年は、「三億円事件ブーム」のようだ。

 

 同事件をテーマにしたマンガ「クロコーチ」はTBSでドラマ化されているほか、故松本清張氏が独自の解釈で「三億円事件」を描いた「小説3億円事件 米国保険会社内調査報告書」が「テレビ朝日開局55周年記念 松本清張ドラマスペシャル 三億円事件」として年明け1月に放送される。

 

 同事件の真相については、警察内部の謀略説を始め、さまざまな仮説が提起されているので、今さら触れるまでもないが、今改めて事件を振り返ってみると、この事件の最大の特徴は、やはり実行犯が「警察官の身分」を詐称していたことに尽きる。

 

 犯行直前に、日本信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)国分寺支店長宛に脅迫状を送り付け、爆破事件の危機をあおり立てた上で、警察官登場という周到・緻密な計画に世の中は度肝を抜かれた。

 

 人は権威に弱い。特に警察官だと言われれば疑問を差し挟まずに対応してしまう。

 

 この事件以降、警備業界では、現金輸送などの際に、途中で何があっても停車しないことが常識になり、マニュアル化されているが、それでも警察官に呼び止められたら、さすがにいったんは停車しなければならない。

 

 マニュアル上は、「停車しても油断せず、窓も最小限に開けて対応せよ」ということになっているが、45年経った今でも、現金輸送車の警備にとって、警察官による尋問や検問はヒヤヒヤ物の「鬼門」なのだ。

 実際、海外などでは警察官を偽装した事件は後を絶たない。

 

 イタリアなどでは、観光客などに対し、薬物検査だとか検問だとか言って荷物を開けさせ、財布や貴重品を持ち去るといった事件が後を絶たない。

 

 中国では、1992年に遼寧省で、ニセ警察官ならぬニセ警察署を作っってしまった男(署長?)と署員?12人が本物の警察に包囲され逮捕されるという事件まで起きている。

 

 この男は、「役人になるとおいしい思いが出来ると思ったから」との動機を供述している。

 

 これは「さすが中国」という例だが、日本でも、運転中に信号無視だと白バイ(ニセモノの)に呼び止められ、住所・連絡先などを全部調べられたという事例も起きている。

 

 人というのは、悲しいかな「権威」に弱い。

 

 そして、それらしい身なり(警察官なら制服だが)、つまり「外見」にもすぐだまされる。

 

 2日に警察庁が発表した速報でも、振り込め詐欺などの特殊詐欺の実質的被害額が10月末までで、昨年1年間を上回る過去最悪の約383億円に達したと発表した。

 

 世の中が進歩するにつれて、犯罪も巧妙化している。

 

 職務質問をする警察官、示談を持ちかける弁護士、公有地を払い下げる財務省の官僚……。

 

 今の時代、悪い奴らは、さまざまな権威を装う。

 

 45年前は、三億円事件も世間をあっと言わせる「希代の手口」だったが、現在ではそこらへんのチンピラ詐欺師が誰でも使う「ありふれた常套手段」。

 

 犯罪の進歩は恐ろしい。

 あなたにオススメの記事