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感染症2014 赤ちゃんに障害「先天性風しん症候群」は今後も増加

   2012年秋から2013年夏にかけて大流行となった風しん。現在は落ち着いているが、妊娠中に母親が感染し、赤ちゃんに障害が出る「先天性風しん症候群」は今後も増える見込み。再び大人に流行する恐れもあり、注意が必要だ。


   風しんは咳やくしゃみによって感染し、高熱や発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出る。従来は子供がかかるイメージが強かったが、2012年秋からはワクチン接種を受けていない大人、特に20〜40代の男性が流行の中心だった。


   国立感染症研究所によると、2013年1〜9月に報告があった患者3650人のうち、感染経路は職場が1154人(31.6%)と最も多く、家族689人(18.9%)や学校145人(4.0%)を大きく上回っていたという。

   風しんは特効薬がなく、事前のワクチン接種が有効な予防策だ。ただ、1977年から始まった定期接種は当初、女子中学生だけが対象で、現在の30代後半~40代の男性は接種の機会がなかった。


   また、男女とも20代後半~30代前半は中学生のころに定期接種はあったが、学校での集団接種ではなく、個別に医療機関に行く必要があり、接種率が低かった。


   このため、風しんに対する抗体保有率は、予防接種を受けている2歳以上の子供や、女性はほぼ90%以上なのに対し、男性は免疫を持たない人の割合が高く、20代で10%、30代で21%、40代で16%が免疫を持っていない(国立感染症研究所2012年調べ)。


   相対的に患者数は少ないが、女性の場合、妊娠中に風しんにかかると、生まれてくる赤ちゃんが心疾患や難聴など障害が出る「先天性風しん症候群(CRS)」になる恐れがある。発生頻度は妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で35%、3ヶ月で18%と妊娠初期ほど高い。


   2012年秋からの大流行で、これまでに東京都で13人など全国各地で30人以上のCRSが報告されており、大人の流行ピークが5〜6月だったことを考えると、今後まだまだCRSは増えそうだ。


   免疫を持たない層が一定以上いるかぎり、大流行はいつ起こっても不思議はない。女性は妊娠中はワクチン接種できないため、予防接種を受けた覚えがない人は早めの対応が肝心だ。もちろん、妊婦に感染させないよう夫や家族など周囲の人の予防接種も大切だろう。


   かつて1980年代などには、風しんが流行した年にCRSを危惧して人工流産が増えたこともあった。生まれてくる赤ちゃんに不安を残さないよう、大人はしっかり準備したいものだ。

 

■風しんの最新情報は感染症MAPでごらんいただけます。

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