気象

土砂災害から身を守るには 伊豆大島の教訓

   最も身近な災害とは何か?


   と、考えた時、まず頭に浮かぶのは何だろう。地震?津波?火山の噴火?どれも確かに恐ろしい。しかし、遭遇する頻度で言えば「大雨」こそ最も”高確率”ではないだろうか。


   2013年は台風が日本各地に爪痕を残した。中でも10月に伊豆大島(東京都大島町)を襲った台風26号による豪雨は大規模な土砂崩れを引き起こし、死者・行方不明者は39人に上った。


   土砂災害はひとたび起こると甚大な被害をもたらす。しかも、全国約52万ヶ所が「土砂災害危険箇所」に指定されており、決して”どこか遠い場所の災害”ではない。


   では、土砂災害を避けるにはどうしたらよいか。その指標となる「土砂災害警戒情報」について、気象庁は現在、これまでに降った雨(解析雨量)と今後数時間に降ると予想される雨(降水短時間予報)といった雨量データなどから発表している。

   当然、伊豆大島の場合も出されたが、さらに気象庁の気象研究所は12月になり、数値シュミレーションによる分析の結果、「豪雨は局地前線の停滞と伊豆大島の地形が原因」と明らかにした。


   伊豆大島には10月16日、台風の暖かく湿った空気と房総半島からの冷気がぶつかって出来た「局地前線」に沿う形で線状の降水帯が停滞。加えて、中央に三原山がそびえる地形により、大雨を吹き付ける北風が減速し、島の中央部に集中的な雨を降らせたという。


   実際に、北部のアメダス地点「北ノ山」と中央西部の「大島」は4キロほどしか離れていないにも関わらず、最大24時間降水量は北ノ山412ミリ、大島824ミリと倍もの差があり、土砂災害の被害も中央西部に集中していた。


   数値シュミレーションによる予測は、大島の6時間降水量を実際より約140ミリ少なく見込むなどまだ精度に問題はあるが、さらに研究が進めば、より精緻な大雨やそれによって引き起こされる土砂災害の予報が可能になるだろう。


   ただ、伊豆大島では警戒情報が出たものの、住民への避難勧告や避難指示はなかった。大島町では過去の三原山の噴火の経験から、火山や津波に備えたハザードマップはあるが、大きな土砂災害は50年以上なく、避難場所の指定など非常時の対策が整っていなかったのである。


   警戒情報は、出されても実際に被害を伴う土石流などが起きるのは3.5%程度しかなく、自治体からすれば避難勧告や指示を出すタイミングが難しいという指摘もある。


   予測の技術を高めることと、その予測を基に「減災策」を実行する体制づくりは車の両輪と言えるだろう。もちろん住民自ら防災意識を養っておくことも重要だ。大島町のケースは決して他人事ではないと、胸に刻みたい。

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