歴史

防災歳時記1月11日 映画「ゼログラビティ」はリアルに起きるか?

 最近公開されたハリウッド映画「ゼログラビティ」は、ロシアにより破壊された衛星の破片(スペースデブリ)が、国際宇宙ステーションやスペースシャトルなどに衝突して事故が拡大するという「恐怖のストーリー」だった。

 

 しかし、これはSF映画ならではの「フィクション」なのか?それともこんな事故が本当に起きる可能性はあるのか?

 

 今から7年前、2007年の今日1月11日、中国は、自国が打ち上げた気象衛星「風雲1号C」を人工衛星破壊実験の標的として弾道ミサイルで破壊した。

 

 この結果、10センチ以上のデブリが約2500個も発生した。そして、このデブリは実際に国際宇宙ステーション(ISS)など他の衛星への脅威になっている。

 

 さらに2009年には、米国の衛星電話のための通信衛星「イリジウム」とロシアの運用を終了した衛星「コスモス」が衝突し、これも数千個のデブリを発生させた。

 ちなみに地上から望遠鏡やレーダーなどで観測できるスペースデブリ(10センチ以上のもの)は約1万6000個、そして1ミリ程度のものまで含めると、なんとその数は1億個にものぼると言われている。

 

 そして、デブリとの衝突事故はイリジウムだけでなく、1996年にはフランスの衛星「セリース」も欧州宇宙機関(ESA)のアリアンロケットの破片に衝突している。

 

 さらに悪いことに、スペースデブリは、急速に増え続けているのだ。

 

 それは単に、衛星の打ち上げ回数が増えただけではない。

 

 ロケットは打ち上げる時に、当然ながら燃料に多少の余裕を持たせる。また、衛星も姿勢制御用の燃料を積んでいる。

 

 だから運用が終了したロケットや衛星はタンクに燃料を積んだまま宇宙空間を漂っている。

 

 それが太陽光で加熱されると爆発が起きる。

 

 これまでに確認された爆発は200回以上。そうした破片がさらに衝突に衝突を生んで、いわば「自己増殖状態」にある。

 

 また、人工衛星には「人気の軌道」があり、その周辺にデブリが密集しているのも大きな問題だ。

 だから冒頭の設問「映画ゼログラビティのような事故は本当に起きるのか?」の答えは、「このままだと十分起きる可能性がある」だ。

 

 地球周回軌道にあるスペースデブリは、いつかは大気圏に再突入して燃え尽きる。

 

 しかしながら、地上1000キロの高度を周回しているデブリが軌道を次第に下げ、燃え尽きるのには1000年かかると言われている。(ちなみに現在でも衛星レベルのデブリは、週に1〜2回の割合で大気圏に再突入しているが)

 

 つまり、今、ISSで活動している若田光一さんだって、ゼログラビティのような危険がまったくゼロとは言い切れない状況にある。

 

 米国のサイト「Space Track(スペース・トラック)」では、確認されたスペースデブリの情報や、大気圏再突入情報を公開している。

 

 JAXAでも、未踏技術研究センターがデブリの観測、防御、除去システムについて研究を進めている。

 

 スペースデブリは、例えそれが1ミリの微小破片でも、その速度は平均で秒速10キロ(時速3万6000キロ)。

 

 驚くほどの破壊力を秘めた「宇宙の凶器」であることは間違いない。

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