歴史

防災歳時記2月12日 ペニシリン記念日 新たな戦いの始まり

 今日2月12日は「ペニシリン記念日」。

 

 世界初の「抗生物質」としてペニシリンを発見したのは英国のアレキサンダー・フレミング

 

 ブドウ球菌を培養しているシャーレに青カビが発生すると、そのまわりに円状に菌の繁殖しない場所ができることから、青カビから「細菌を溶かす物質」が生成されていると、フレミングが考えたのが1928年。

 

 しかしフレミングは、この物質を分離し、特定することはできなかった。

 

 ペニシリンが実用化されたのは、なんとフレミングの発見から13年もの歳月を必要とした。

 

 ペニシリンを分離・特定し実用化に導いたのは、「オーストラリア史上最も偉大な人物」として、かつては豪ドル紙幣にも、その肖像が使われていたハワード・フローリーと、そのオックスフォード大学での同僚エルンスト・チェーン

 

 彼らは9年前に発表されたフレミングの研究を掘り起こし、ペニシリンの研究を進めていった。

 

 そして1940年にペニシリンの分離に成功、翌1941年の今日2月12日に、初の臨床試験で成果を収める。

 20世紀の最も偉大な科学的業績の一つ。

 

 ペニシリンの発見により、破傷風、敗血症など、さまざまな細菌感染症から多くの命が救われ、フレミング、フローリー、チェーンは後にノーベル生理学・医学賞を受賞した。

 

 しかし同時に、この瞬間から、人類と細菌の「新たな戦い」は始まった。

 

 微生物に対する「決定打」を放った人類に、彼らは「薬剤耐性」という必殺技を使って猛烈な抵抗を始めた。

 

 彼らの必殺技は、主に3つのやり方で繰り出される。

 

 1つめは、抗生物質や抗ウイルス剤を分解したりして無効化する酵素を生産できるように変身する。

 

 2つめは、ウイルスなどがよく使う手で、自分自身を薬剤が効かない構造に作り変えてしまう。

 

 そして3つめは、薬剤を体外に排出するポンプを作り出してしまう。

 

 この3つのカウンターアタックで、複数の薬剤に対して耐性を持つ、「多剤耐性菌」と呼ばれる強敵も生まれた。

 

 そして現在、最も恐れられているのは、「カルバペネム耐性菌(CRE)」。

 

 抗生物質にはそれぞれ、効果がある菌と効果がない菌とがあるが、カルペバネム系抗生物質は、かなり様々な細菌に効果がある、いわば「抗生物質の最終兵器」。

 

 しかし、この最終兵器に対して、耐性を持つ菌が現れたのだ。

 

 そして米疾病予防センター(CDC)によれば、このCREは、過去10年間に4倍から10倍に急増しているというのだ。

 

 何らかの理由でCREが体内で増殖し、敗血症などを引き起こすと、米国では半数が死亡したと言われている。

 

 ほとんどの細菌に効果がある最後の切り札が効かないのだから、当然、有効なクスリは存在しない。

 

 微生物と人間の闘争の歴史。

 

 簡単に人間の知恵が勝利できるほど、自然は甘くないようだ。

 あなたにオススメの記事