歴史

防災歳時記3月13日 太陽が起こした大停電

 今から25年前、1989年の今日3月13日に、巨大な「磁気嵐」が発生した。

 

 「磁気嵐」とは地球上の「地磁気」が大きく変動する現象だが、その主な原因は太陽の活動だ。

 

 この磁気嵐に先立つこと1週間前、3月6日に太陽表面で巨大な「太陽フレア(太陽表面での爆発現象)」が発生、その3日後に「コロナ質量放出(CME)」が起きた。

 

 「コロナ質量放出(CME)」とは、太陽フレアにより大量の物質が宇宙空間に高速高温のプラズマとして放出されること。

 

 このプラズマは遥かな宇宙空間を横切り、さらに3日後には、地球を取り巻く磁力圏へと吹き寄せた。

 

 この巨大磁気嵐は、1989年3月13日、まず極域で凄まじいオーロラとなって、その姿を地球上に現した。

 このオーロラはテキサス州など低緯度地域でも観測されたため、多くの人々が、「核攻撃」と勘違いした。

 

 そしてラジオ放送が聞こえなくなるなどの電波障害が発生する。

 

 当時はまだ冷戦下、多くの人が、核攻撃にともなうソ連の妨害電波(ジャミング)のせいだと、また勘違いした。これがきっかけとなって、本当の「核戦争」が始まらなかったのは幸運だった。

 

 しかし、さまざまな人工衛星がコントロール不能となり、地磁気の変化により、地中には大量の電流が流れた。

 

 そしてこの地中電流が送電線に流れ込んだことから、カナダのケベック州全域では9時間にわたる大停電が発生し、50万人が被害を受けた。

 

 あれから25年、今ではGPSを始め、各種衛星からの情報が1989年当時より格段に生活に密接に関係している。

 

 今、このクラスの磁気嵐が発生したら、思わぬところに被害が及ぶこともある。

 だから、独立行政法人 情報通信研究機構は、「SWC宇宙天気情報センター」で、最新の太陽フレアや磁気嵐の状況をウォッチし、「宇宙天気予報」を発表している。

 

 こんな恐ろしい磁気嵐だが、太陽から地球に吹き寄せる太陽風は、「太陽のエネルギー」を地球に運ぶ「恵みの風」であることも一面の真実だ。

 

 太陽の黒点活動は11年周期で極小期から極大期へ向かうが、2008年から始まった現在の「第24太陽周期」は、不気味なほど静かな状態にあると言われている。

 

 太陽活動の象徴である「黒点」の数は、当初研究者が予測した数の半分以下となっており、太陽活動の低下が、地球に小氷期をもたらすのではないか?と懸念する人さえいる。

 

 その不安は、黒点活動が極めて低下した1645年〜1715年の「マウンダー極小期」が、ヨーロッパの小氷期と重なっていることに由来する。

 

 GPSや国際宇宙ステーション(ISS)、宇宙船、送電線、通信機器、コンピュータなど現代社会を支えるインフラにとって「磁気嵐」は大敵だが、太陽活動が弱ければ弱いで、他の不安が首をもたげる。

 

 この太陽活動の静穏期のおかげで、一時的にではあるが、地球温暖化のスピードが減速すると見ている研究者もあるようだが…。

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