歴史

防災歳時記3月25日 1996年の大彗星とアマチュア天文家

 今から18年前、1996年の今日3月25日、世界中の多くの人々に感銘を与えた「1996年の大彗星」が、地球からわずか1530万キロ(地球・月の距離の約40倍)にまで最接近した。

 

百武彗星(C/1996 B2)

 

 約0等と夜空で最も明るい星となった薄緑色に輝く百武彗星は、その特徴である「長い尾」を天空になびかせた姿が、肉眼でもはっきり見ることができた。

 

 昨年末の「アイソン彗星」は、結局、下馬評ほどではなかったが、百武彗星は正直、感動した。

 

 発見者のアマチュア天文家百武裕司さんは、1996年1月に、最初にこの彗星を発見、2ヶ月後には今世紀最大の天文ショーが展開し、一躍「時の人」になった。

 

 世の中は、にわかに「天文ブーム」に沸いていた。

 しかし一方で、百武氏は、百武彗星のことを「発見したのは私だが、私が大きくしたのではない」と語る謙虚な人柄だった。

 

 もともと福岡県に住んでいた百武氏は彗星を求めて、より暗い空のある鹿児島県の農村に移り住み、その3年後に百武彗星を発見した。

 

 そして同氏は、百武彗星の発見から6年後の2002年に大動脈瘤破裂で、51歳という若さで急逝した。

 

 世界中の天文学者・天文ファンで知らない人はいないという「コメット・ハンター」は、まるで彗星のように、あっという間にこの世を去っていった。

 

 昨年のアイソン彗星は「下馬評倒れ」の観も否めなかったが、今年も10月19日にサイディング・スプリング彗星(C/2013 A1)が火星に大接近する。

 

 同彗星は、以前は火星に衝突する可能性を取り沙汰されていたが、現在の計算では、最も火星に近いコースを取った場合、表面からわずか5400キロのところを通過する。(最もあり得るコースは火星からの距離が約11万4000キロとなるが)

 

 今年も「第二の百武」を目指す少年たちが、夜空に色どられる壮大な天文ショーに胸を躍らせることだろう。

 

 次に「百武彗星」が地球に近づくのは、約7万2000年後と計算されている。

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