環境

敵の敵は味方!? 在来種と外来種をめぐる複雑な関係

 ブラックバスやブルーギルなどの外来種が日本固有の在来種を駆逐し、全国への拡大が以前から問題視されているが、東京大学大学院の研究グループは14日、現在の生態系は数多の外来種が関係しており、単純に一種類の外来種を駆除することが在来種を守ることにはつながらず、思わぬ副作用を生みかねないとする研究結果を発表した。

 

 調査を行ったのは、東京大学大学院・宮下直教授らの研究グループ。教授らは岩手県一関市にある145のため池で、侵略的外来種のウシガエルと、在来種のツチガエルの生態を調査した。

 

 調査によると、ウシガエルの胃の中からは他のカエル類の成体が最も多く発見され、主食としていることが判明。ウシガエルが数多く生息するため池では、ツチガエルの数が激減する傾向が見られた一方で、外来種(ユーラシア大陸から)のコイが生息するところでは、外来種のウシガエルが減り、在来種のツチガエルがそれほど減らないことが判明した。

 

 この因果関係を調べるため、教授らは、ウシガエルとツチガエルそれぞのオタマジャクシの生態にも注目。水槽の中で外来種のコイと一緒に飼ってみたところ、ウシガエルのオタマジャクシの方がコイに食べられやすく、成体になる確率が低いことが明らかになった。

 

 ツチガエルのオタマジャクシの方が水の中で隠れ家を好むのに対し、ウシガエルのオタマジャクシは特に隠れる習性がなく、コイに食べられやすかったのだ。

 

 つまり、外来種のコイが、外来種のウシガエルの数をオタマジャクシのうちに減らしており、結果的に在来種のツチガエルを守っていたことになり、教授らはこれを「敵の敵は味方」と表現。

 

 最近の生態系は、数多の外来種が複数関係しており、「良かれと思って行った外来種の駆除が、思わぬ結果をもたらすことがあり(中略)外来種を含む生態系を管理する際、生息地のつながりと生物同士の関係を同時に考慮することがいかに重要であるかを示す好例といえます」と結論づけた。

 

 今回のケースで言うと、水草を激減させるからという理由でコイを駆除してしまえば、そのぶんウシガエルが増え、ツチガエルが減ってしまう副作用を示唆している。

 

 なお、北米原産で大型のウシガエルは、1918年に食用として輸入されたが、現在では日本各地に生息し、池沼の在来生物を食い荒らすことで知られている。そのため2006年には特定外来生物に指定され、飼育や運搬、野外への放逐が法律で禁止されている。

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