医療技術

大災害後に糖尿病が悪化する人は?リスク予測指標を発見

 東北大学の研究チームが、東日本大震災で被災した糖尿病患者約500人を調査したところ、病状の変化の度合いが患者ごとに異なるのは、空腹時の血中C-ペプチドの値に関係していることが明らかになった。災害時の糖尿病弱者を予測する指標はこれまでなく、リスク判定に役立つことが期待されている。

 

 この研究は、東北大学の片桐秀樹教授らのチームによるもの。研究チームは2011年3月の東日本大震災後に、多くの糖尿病患者を診察して、災害後の糖尿病の状態が患者ごとに大きな違いがあることに気づいて調査を始めた。

 

 宮城県や福島県で被災した497人の患者を、震災前と後で病状が改善した人と悪化した人に分けて、さまざまな検査値を比較した結果、「空腹時血中C-ペプチド」の値が低い患者ほど、震災後に病状が悪化していることを突き止めた。

 

 「空腹時血中C-ペプチド」は、通常の診察でよく調べられる検査項目で、インスリンが合成されるときに膵臓から分泌される。C-ペプチドを測定することで、インスリン分泌力が反映されることから、インスリンを分泌する力の弱い糖尿病患者ほど、被災後に糖尿病が悪化しやすいことが判明した。

 

 研究チームでは「生活や心理状態が変化する大規模震災後に、糖尿病患者が悪化する仕組みの解明につながった。日ごろから被災後の治療や生活に関する指導を重点的に行ったり、災害時に積極的に診察したりして、糖尿病の悪化やそれに伴う健康被害を未然に防ぐことにつながる」と期待している。

 

 この論文は、米糖尿病学会誌「Diabetes Care」電子版に掲載された。

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