宇宙

土星の衛星エンセラダス 岩石成分は隕石似?独自の熱水環境

 氷と岩石に覆われた土星の衛星「エンセラダス」は、熱水が湧き出す地下海が内部に存在している。東京大学などの共同グループは28日、衛星の岩石成分は隕石に近く、地球とは異なる独自の熱水環境があるとして、微生物が生存する可能性を示す研究論文を発表した。


 土星の第2衛星「エンセラダス」は、直径500キロメートルほどの小さな天体だ。米航空宇宙局(NASA)の探査機カッシーニは、これまでの探査で、衛星の地表を覆う厚い氷と岩石の内部には、広大な地下海が広がっていて、南極付近からは海水が間欠泉のように噴出していることを明らかにしている。


 海水には塩分や二酸化炭素、有機物が含まれていて、地下海には熱水噴出孔のような熱水環境が存在していると指摘されている。


 東大の関根康人准教授らのグループは、海水に含まれているナノシリカ粒子に着目し、衛星の岩石構造の解明を試みた。ナノシリカ粒子は、岩石中のシリカが海水と触れることで溶けだしたものと考え、地球の岩石の主成分であるマントルに似たものと、隕石の成分に似た成分の2種類の岩石を使って、熱水反応実験を行った。


 その結果、隕石に似た岩石からはナノシリカ粒子が生成されたが、地球のマントルに似た岩石からはできないことがわかった。この結果、エンセラダスの岩石成分は、初期に高温になって以来、今まで一度も融解しておらず、多くの鉄分を含み、熱水活動によって大量の水素が生成されて可能性が示されたという。


 研究グループは「生命が誕生したころの太古の地球に近い環境」だと指摘したうえで、「エンセラダスには原始的な微生物にとって重要な食糧となる水素が十分にある可能性が示された」と話している。


 なおこの論文は英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

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