地震

三陸沖の海底 マリンスノーの撮影に成功 海洋研究開発機構

 東日本大震災発生後、震源に近い岩手県三陸沖の海底環境がどう変化したか、長期撮影を続けた海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、1年以上に及ぶ記録から、春先に大量の植物プランクトンが舞い散って雪のように見える「マリンスノー」をとらえることに成功した


 東日本大震災の発生によって、三陸沖の海底環境がどのような影響を受けたのか調べるため、JAMSTECは大容量のリチウム電池を使った電力独立型の海底観測ステーションを開発し、岩手県の大槌湾の沖合の深さ300メートルと、998メートルの海底に設置。


 海底観測ステーションには、潮の流れや塩分濃度、水の濁りなどを観測するセンサーと、海底観測カメラが搭載されており、2012年8月から2013年10月までの14カ月間にわたって、毎日1回海底画像を撮影、詳細な変化を記録した。


 観測期間中の2012年12月7日には、震災後最大の余震であるマグニチュード7.3の地震が発生。このとき、水深998メートルの観測ステーションでは、海底付近で潮の濁りが高まり、海底に生息するクモヒトデが堆積物に飲み込まれるようすがとらえられた。


 しかし驚いたことに、潮の濁りは地震翌日には消滅し、クモヒトデが海底面に出現。海底環境が地震前の状態に戻るのには10日ほどかかったが、クモヒトデは地震の影響から素早く立ち直ったという。


 また2013年の春先には、大量のマリンスノーが1日の間に大量に降り積もるようすを撮影した。マリンスノーは、海面近くで発生した植物プランクトンが、死後凝縮して雪のように海底に降り積もることから名づけられた現象で、JAMSTECによると、今回の長期観測で、初めて水中での詳細な降雪をとらえたという。


 観測チームは「マリンスノーは深海での生物の貴重な栄養源となっているため、たった1日だけの降雪であっても、豊かな生態系を育むきっかけになっている」として、今後も三陸沖の漁業復興に役立つ研究を続けていくと話している。


 これまでの海底観測では、陸から海底にケーブルを敷設して、安定した電力供給を確保する方法しかなかったが、敷設工事にかかる時間を省くために、JAMSTECは今回、設置や移動を簡単に行える、機動性の高い観測システムを開発した。

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