医療技術

アルツハイマーで記憶は失われていない可能性 理研がマウスで実証 光刺激の治療法に期待

 認知症の7割程度を占めるといわれるアルツハイマー病のマウスの脳神経細胞を刺激することで、失われた記憶を取り戻すことに成功したと、理化学研究所の利根川進氏らのチームが17日発表した。

 

 アルツハイマー病は、物忘れなどの記憶障害から始まり、じょじょに認知機能全般が低下する病気で、全世界で4750万人いると推定される認知症患者のうち、7割程度をしめる。記憶を形成したり、思い出すのに重要な役割を果たす海馬の異常との関連が指摘されているが、初期の記憶障害が記憶を新しく形成できないためか、形成された記憶を正しく思い出せないためなのか、これまでメカニズムは不明だった。

 

 理研の脳科学総合研究センターの利根川センター長らのチームは、アルツハイマー病患者と同じ神経変性を示すマウスを遺伝子操作で作り、実験箱の中で弱い電流を足に流し、記憶させた。

 

 翌日、再び同じ実験を行ったところ、正常なマウスは前日の嫌な記憶を思い出して体がすくむの対して、アルツハイマーモデルのマウスは同じ箱に入れも変化せず、記憶障害を示した。

 

 このため、モデルマウスが嫌な体験をしている最中の脳神経細胞に特殊な方法で目印をつけて、嫌な体験をさせた翌日に、青い光の刺激を与えて神経細胞を活性化させたところ、モデルマウスは正常なマウスと同様に怯えるようになった。

 

 この実験結果を受けて、研究チームは「モデルマウスは、記憶は正常に形成し、保存しているが、思い出せなくなっている可能性がある」として、記憶に関係する神経細胞を刺激すると、神経細胞回路のつながりが正常化して、記憶をある程度思い出すことができると結論付けた。

 

 利根川センター長は「アルツハイマー患者の記憶は失われておらず、思い出せないかもしれない」として、記憶障害のメカニズムの一端を動物モデルで解明したことで、今後の治療法や予防法の開発につながると期待している。なおこの研究成果は、英科学誌ネイチャーに近く掲載される。

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