医療技術

半世紀前に開発された結核薬に認知症予防の効果 大阪市立大がマウスで確認

 アルツハイマー病などの認知症に、結核やハンセン病などの治療薬として50年近く使われている抗生物質に予防効果があることを、マウスを使った実験で確認したと大阪市立大学などのグループが29日、英科学誌に発表した。

 

 認知症には、原因となるタンパク質の種類の違いによって、アルツハイマー病のほか、前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症などがある。厚生労働省の調査では65歳以上の高齢者のうち約15%が発症していると推計されていて、2012年時点で462万人近い患者がいると見込まれている。

 

 認知症の中でも患者数が6割を占め、最も研究が進んでいるアルツハイマー病は、「アミロイドβ」と「タウ」というタンパク質が脳に蓄積されて神経細胞を傷つけるのが原因だと判明しており、これまで原因タンパク質を除去する治療薬が数多く開発されてきたが、いずれも有効性を発揮できず、開発を断念している。

 

 大阪市立大の富山貴美准教授は、結核の治療などに古くから使われている「リファンピシン」を服用していたハンセン病患者には認知症が少ないという論文に注目。1994年にはリファンピシンにはアミロイドβの蓄積を抑制する作用があることを発見している。

 

 そこで脳にタンパク質が蓄積し、アルツハイマー病と前頭側頭型認知症の症状にさせたモデルマウスにリファンピシンを1カ月間投与したところ、抗生物質を飲んだマウスは、飲まなかったマウスと比べて、タンパク質の蓄積が減って記憶障害が改善した。

 

 プールでマウスを泳がせて、足場にたどり着く作業をさせて、位置や空間への記憶力をはかる実験では、健康なマウスとほぼ同程度の記憶力を持つまで回復が見られた一方、投与しなかったマウスでは症状が悪化した。

 

 富山准教授は実験結果を受けて「有力な予防薬の開発につなげたい」と話している。リファンピシンを服用した一部の患者には肝障害などの副作用があるが、投与法などの工夫で副作用を抑えられれば、新薬と比べて安価な予防薬に結びつくとして期待を寄せている。

 

 この研究成果は、英神経学誌「ブレイン」電子版に29日付で掲載された。

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