津波

311でも発生した「スロースリップ」NZ沖で観測 海山が断層すべりを抑えるバリアーか?

 地下プレートの境界が揺れを起こさず、ゆっくりとずれ動く「スロースリップ」を、京都大学防災研究所や東京大学地震研究所などの共同チームが、ニュージーランド沖の海底で観測することに成功した。スロースリップは東日本大震災の直前にも観測されており、津波地震を引き起こすメカニズムの解明につながる可能性があるとして期待されている。

 

 スロースリップは、通常の地震と比べて、断層が数日から一年以上かけてゆっくりずれ動く現象で、東日本大震災の1カ月に、発生が確認されており、本震時には30メートルを超えるすべりが観測されている。

 

 京大防災研究所の伊藤喜宏准教授らのチームは2014年5月、ニュージーランド北島の東方沖、ヒクランギトラフに海底圧力計を設置。この海域は、太平洋プレートが年に3〜6センチ程度の速度でオーストラリアプレートの下に沈み込んでいて、その境界付近では、スロースリップが18〜24カ月周期で発生している。

 

 これらの海底圧力計を回収し、地殻変動を解析したところ、スロースリップによって海底が1.5〜5.4センチ隆起していたことがわかった。震源域を推定したところ、海底下4〜7キロのプレートの境界付近で、1947年にヒクランギ沖で起きた津波地震と一致したという。

 

 一方で、海底海山近くでは、スロースリップのすべり量が小さくなっていることも発見。研究チームは「海山が巨大地震時のすべりを抑制するバリアー機能として働いている可能性がある」と指摘している。

 

 海底海山については、東日本大震災の本震が発生した30分後に、茨城県沖を震源とする余震が起きた際にも、海山の手前で断層すべりが停止したことが判明している。

 

 今回の調査結果を受けて、研究チームは、スロースリップを起こす海底プレートの観測によって、地震による津波被害の軽減を目指したいとしている。なおこの研究成果は、米科学誌「サイエンス」に6日付で掲載された。

 あなたにオススメの記事