気象

観測装置をスローイン 航空機から台風を直接観測 名古屋大の挑戦

 地球温暖化に伴う台風による災害リスクが高まるなかで、名古屋大学は台湾の気象局や大学と共同で、航空機を使った台風の直接観測を始める計画を明らかにした。

 

 昨年9月、二つの台風の通過で発生した鬼怒川の氾濫や、2013年にフィリピンを直撃し、7000人以上が死亡したスーパー台風など、台風による災害リスクが高まる一方、その勢力を正確に予測する技術の確立は、世界中の気象機関に共通した課題になっている。

 

 現在は、気象庁と米国の合同台風警報センターが、気象衛星の観測データをもとに、太平洋に発生した台風の大きさやパターンを割り出して、風速や気圧を推定し、進路や強さを予報しているが、3日後の予測ではいまだに誤差があるうえ、両機関が発表する勢力予測には大きな隔たりがある。

 

 名古屋大学の宇宙地球環境研究所は、琉球大学や気象研究所、台湾の気象局などと組んで、沖縄周辺や南西諸島に近づく台風を航空機で直接観測する研究を始める。

 

 具体的には、那覇や鹿児島からジェット機を飛ばし、上空から台風に向かって、「ドロップゾンテ」という測定装置を複数投下して、温度や湿度、気圧、風向、風速を直接測定するというもの。観測したデータは、スーパーコンピューターに取り込んで、台風の勢力や進路予測をシミュレーションする。

 

 航空機を使った台風の直接観測は、米軍が1987年まで行っていたが、日本では8年前に研究の一環で一時的に実施したのみ。今年度は準備期間に当てて試験飛行を重ね、実際の観測は2017年度から2020年度まで続ける予定だ。

 

 研究チームを率いる名古屋大学の坪木和久教授は「最大風速が66メートル以上のスーパー台風のような強い台風の上陸が予想されるときは、数十万人規模の避難が必要とされるが、台風の強度を正確に推定する技術は確立されていない」として、今回の研究が精度の高い予測技術の開発に結びつくことを期待している。

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