医療技術

「がんの転移」風邪薬で止まる 北大が発見 治療後の改善へ…

 50歳以上の男性を中心に、国内で毎年2万人が発症している膀胱がんに、風邪薬の成分である「フルフェナミン酸」が転移を抑え、抗がん剤の効き目を回復させることを北海道大学の研究グループが発見した。

 

 国内では毎年2万人が発症し、8000人が死亡している膀胱がんは、何度も再発を繰り返すのが特徴だが、がんが筋肉の深い部分に到達する場合は、肺など他の臓器に転移しやすく、治療しても抗がん剤に対する耐性がつくのが問題となっている。

 

 北大大学院の田中伸哉教授と篠原信雄教授のグループは、ヒトの膀胱がん細胞をマウスに移植したところ、移植から45日後に肺や肝臓、骨などにがんの転移を確認。転移先の臓器や骨からがん細胞を取り出して調べたところ、抗がん剤の効果を失わせる酵素の数が、3〜25倍に増えていることがわかった。

 

 研究グループによると、抗がん剤治療を行うと、がんの周りに炎症が起こり、炎症性物質が放出されるが、この炎症物質の影響で、がん細胞のなかの酵素の数が増えて、薬剤耐性を持ち、抗がん剤が効きにくくなるという。

 

 そこで、炎症を抑える非ステロイド性の抗炎症薬であるフルフェナミン酸を抗がん剤と同時に使うと、酵素の働きが阻害され、抗がん剤の効き目が良くなることが確認された。

 

 フルフェナミン酸は、一般的な風邪薬の成分の一種で、安価に入手することができることから、研究グループは今後、臨床研究を進めることで膀胱がん患者の治療後が改善され、将来的には完治につながる可能性があると期待を寄せている。

 

 なおこの研究成果は、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に掲載された。

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