火山

「世界3位の地熱資源国」…なのに日本で地熱発電が遅れている理由

 今年11月、ちょうど1年前に採択されたパリ協定が発効し、今後は世界192カ国が参加して二酸化炭素の排出量を削減し、地球規模で温暖化対策を進めていく。「脱炭素」が今後のビジネストレンドのひとつになると予想されるなか、10月8日に新たに制定された記念日が、日本の未来を明るく照らすヒントになるかもしれない。

 

 ほとんど注目されていないが、日本地熱協会は今年「10月8日」を「地熱発電の日」に制定した。これは、国内初の地熱発電所である岩手県の松川地熱発電所が1966年に運転を始めてから、ちょうど50年を迎えたことを記念して制定されたものだ。

 

 盛岡市から北西に約20キロ。岩手山と大深山に挟まれた松川地熱発電所は、地元の村が温泉を開発するために掘削した井戸から蒸気が噴き出したのをきっかけに開発が始まった。発電能力は2万3500キロワット。石炭や石油などの化石燃料を使わず、炭酸ガスも一般の火力発電所の5〜10%と少なく、地下から噴出するお湯の一部は、温泉や温水プール、暖房や温室に利用されている。

 

 世界有数の火山国である日本国内の火山地帯では、地下1000〜3000メートルほどの地層がマグマの熱で温められ、そこに雪解け水や雨水が浸透して、高温・高圧の地下水ができる。この地熱が溜まった地層から、蒸気や熱水を取り出してタービンを回転させて発電するのが地熱発電の仕組みだ。

 

 日本地熱協会によると、日本の地熱資源量は、米国、インドネシアに次いで世界で3番目に多い2347万キロワット。しかし、国内にある36カ所の地熱発電所では、合計して約52万キロワット程度と地熱資源量のわずか2%あまりしか発電しておらず、活用が十分だとはとても言えない。

 

 一方、海外では地熱発電の利用が積極的だ。日本同様、火山と地震が多い環太平洋火山帯の国を見ると、米国ではカリフォルニア州を中心に大型の地熱発電所が稼動し、世界最大の345万キロワットを発電。2位のフィリピンは、地熱発電量が国全体の発電電力量の17%を占めており、3位のインドネシアでは地熱発電の電力量を今後約10年間で7倍近い950万キロワットに増やすため、設備の整備計画を進めている。 

 

 ポテンシャルの高さに比べ、日本の地熱発電がこれまで立ち遅れ理由はなんだろうか?資源エネルギー庁によると、地熱発電所は立地が難しいという。地熱資源があるエリアは、国立公園や温泉などの地域と重なるため、開発が難しく、地元の温泉事業者からは「温泉が枯れるのではないか」と不安視する声が上がる。

 

 しかし、2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、二酸化炭素をほとんど出すことなく、気象条件に左右されにくい理想的なクリーンエネルギーとして、地熱発電に向けられる期待は、日に日に熱が高まっている。

 

 今年4月、私たち消費者が、家庭や商店ごとにライフスタイルやニーズに合わせて、電力会社を選べる「電力の小売全面自由化」が本格的にスタートした。さまざまな電力会社が小売市場に参入することで、サービスや料金メニューが拡充されることに注目が寄せられているが、今後は選択肢のなかに再生可能エネルギーの供給業者が加わることだろう。

 

 温暖化対策には、家庭で使う電力の供給会社を選ぶことでも参加できるのだ。

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