気象

ゲリラ豪雨地デジ波で予測「水蒸気量がカギ」NICTが開発

 近年、都市部を中心に集中豪雨の被害が急増するなか、情報通信研究機構(NICT)は、地上デジタル放送の電波を利用して、大気中の水蒸気量を測定することで、ゲリラ豪雨の予測に結びつける技術を開発した。実用化に向けて関東地域などで実証実験を進めていく。

 

 電波は、大気中に含まれる水蒸気の量によって伝わる速度が変化する。例えば5キロの距離では、水蒸気量が1%増えると、電波の到着は約17ピコ秒(1兆分の17秒)遅れる。

 

 NICT電磁波研究所の川村誠治主任研究員らのチームは、この性質を利用して、地上デジタル放送の電波が届く時間の変化を測定することで、大気中の水蒸気量を推定する手法を開発。

 

 東京・小金井市のNICT本部から約29キロ離れた東京スカイツリーから直接届く電波と、遠く離れたビルや送電塔に反射して戻って来た3つの電波を同時に受信して、水蒸気量を推定する実証実験を行った結果、地上での気象観測データと一致。

 

 実用化すれば、秒単位で水蒸気量が観測できるため、急速に発達する雨雲の動きをいち早くとらえることで、ゲリラ豪雨による都市部での被害軽減化につながるものと期待が寄せられている。

 

 現在、気象庁は全国20カ所の観測所に気象レーダーを設置し、半径数百キロ圏内に存在する雨や雪の粒をめがけて電波を発射し、反射した電波が戻ってくるまでの時間から雨や雪の強さを観測している。

 

 今回、NICTが開発した新技術は、既存の地デジ放送波を利用するうえ、計測もソフトウェア無線で行うため、費用も100万円程度と安価で汎用性が高く、実用化すれば民間企業へも普及が広がると期待されている。

 

 この研究成果は、米国の専門誌『ラジオ・サイエンス』に掲載された。

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