環境

南極のオゾンホールが29年ぶりに最小…温暖化の皮肉な効果

 南極上空を覆うオゾン層の破壊が、29年ぶりに最小規模に縮小したと米航空宇宙局(NASA)が明らかにした。地上から約10〜50キロ上空の成層圏に存在するオゾン層は、太陽からの有害な紫外線を吸収し、地上の生態系を保護する役割を果たしている。

 

 NASAによると、南極上空のオゾンホールは今年9月11日、全米の面積の約2.5倍に相当する大きさ(1968万㎢)に広がり、その後、縮小に転じた。

 

 南極上空を覆うオゾン層にできるオゾンホールは、例年南半球の冬から春にあたる8月〜9月にかけて発生し、9月中旬ごろに急速に拡大してピークに達する。2015年には2780万㎢と、過去5年で最大規模になったが、今年は1988年以来、オゾン層の破壊が最小にとどまった。

 

 オゾンホールが縮小した原因について、ゴダード宇宙飛行センターの観測チームは、「南極上空の成層圏で時計回りに回転する、“極渦”と呼ばれる気流の渦の温度が例年よりも高かったのが、オゾン層破壊を食い止めた可能性がある」と指摘している。

 

 極渦ができると、南極上空の空気が周囲から孤立し、冬は太陽光が当たらなくなるため、内部の気温が下がり、凝結した氷の粒でできた雲が形成される。この氷の表面では塩素分子が作られ、冬の間に極渦内に蓄積されるが、春になって太陽光が戻ってくると、化学反応を起こしてオゾン層破壊を再開する。

 

 皮肉なことに、温暖化によって成層圏の温度が下がらなかったため、今年は大気中のオゾン量が安定した状態を維持したという。

 

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