歴史

謎だらけの騎馬民族スキタイ人 手付かずの「凍結墓」発見 シベリア

 チンギス・カンが開いたモンゴル帝国よりも先の紀元前7〜3世紀ごろ、ユーラシア大陸に最初に登場した遊牧騎馬民族スキタイ人は、古代ギリシャの歴史家も著書で記し、ヨーロッパで勇名を馳せたが、突然、歴史から姿を消した謎多き存在だ。スイスの考古学者は衛星画像の分析で、シベリア南部の沼地で氷漬けになった手付かずの墳墓を発見した。

 

 紀元前7世紀から前3世紀ごろにかけて、アフガニスタンのパミール高原から黒海にかけて活動したスキタイ民族は、ヘロドトスが著書『歴史』のなかで、「討ち取った敵の首を取り、血を飲む」などの風習を記した勇猛果敢な騎馬民族だ。

 

 19世紀末から20世紀初頭、コーカサス地方から黒海沿岸で発掘された古墳からは、馬や動物をかたどった見事な金製品が見つかっており、高度な技術をもつ文化だったと考えられているが、都市や住居などの遺跡が存在しないため、実態は謎に満ちている。

 

 スイス・ベルン大学の考古学者ジーノ・カスパリ氏は、ロシアとモンゴルに挟まれたトゥヴァ共和国を流れるウユク川流域の沼地の永久凍土の下に、スキタイ王国の王家の墓とみられる「クルガン」と呼ばれる墳丘墓が眠っているのを発見した。

 

 衛星画像の解析の結果、地下の墳墓は丸太が放射状に並ぶ円形構造で、上部が石で覆われていることをつきとめた。2017年夏、スイスとロシアの合同チームで現地調査し、地下から丸太を掘り起こして年代測定を行ったところ、2900年ほどさか上る紀元前9〜8世紀ごろに建てられたもので、墳墓の大きさは直径140メートルと、これまでに見つかったスキタイ民族の墓の中でも最大であることが判明。

 

 現場から10キロほど北東には、1970年代に「アルザン1」という古墳が発見されており、今回見つかった墳墓と構造的にもよく似ているという。アルザン1からは、スキタイ文化を象徴する武器や馬具、動物紋様の謹製品が多数発掘されているが、今回の発見はそれを上回る規模のため、素晴らしい埋葬品が眠っている可能性が高いという。

 

 カスパリ氏によると、数メートルの厚い永久凍土の下にある墳墓は、太陽光が完全に遮られるため、埋葬当時の状態で保存されている可能性が高く、氷漬けにされた王族のミイラに出会う日を夢見ているという。

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