気象

日本初!台風の眼の直接観測に成功!予測精度の改善に期待

 気象庁が統計を取り始めた1951年以来初めて、日本列島を東から西へ進む異例のコースをたどった台風12号の傷跡が癒えぬなか、琉球大学や名古屋大学などのチームは、日本人研究者として初めて航空機を使った台風の直接観測に成功したと発表した。

 

 現在、東アジア周辺の太平洋で発生する台風は、気象庁と米軍の合同台風警報センターが、気象衛星の赤外線画像をもとに、中心気圧や風速を推定し、進路や強さを予測している。

 

 しかし直接の観測ではないため、不確実性も高く、被害想定や気候変動の影響などを調べるうえで問題も多いことから、正確な予測技術の確立が課題となっている。

 

 琉球大の伊藤耕介准教授、名古屋大・宇宙地球環境研究所の坪木和久教授、気象研究所のチームは、2017年10月21〜22日にかけて二日間、航空機による台風21号の直接観測を実施した。このときの21号は、中心気圧が925ヘクトパスカル(hPa)と超大型で、南大東島から本州に向かって北上を続けていたスーパー台風だ。

 

 実験では、台風21号の勢力が最も強かった時刻を中心に、ジェット機「ガルフストリームⅡ」から台風の眼に向かって観測機器「ドロップゾンテ」を26個投下し、風速や気温、気圧、湿度を測定。

 

 その結果、10月21日(午後3時〜6時)の中心気圧は、気象庁推定値が「935hPa」だったのに対して、航空機による直接観測データでは「925hPa」。さらに翌22日(午前9時〜12時)については、気象庁のデータが「915hPa」のとき、実際には「930hPa」と、それぞれ10〜15hPaの差があった。

 

 かつて太平洋上では、米軍が航空機を使った直接観測を行っていたが、1987年に中止。日本でも研究の一環として一時的に実施したことはあったが、それ以外はほとんど行われていない。

 

 さらに、研究チームは航空機観測で得られたデータを元にスーパーコンピューター「京」を使って台風の進路予測を行ったところ、直接観測のデータを利用した方が、進路予測の精度が最大で16%改善し、3時間あたりの降雨予測も向上することが裏付けられた。

 

 今回の観測の成果を受けて、研究チームは今後、2020年度まで年1回程度、直接観測を実施し、次回以降は観測データを世界に向けてリアルタイムで送信して各国の気象機関が天気予報に利用できるようなシステムの構築を目指すとしている。

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