健康問題

「目的外処方」が国の財源を圧迫!塗り薬が美容に年間93億円

 

 超高齢化社会に伴って、健康保険に関わる国の医療費が年間42兆円以上に膨れ上がるなか、治療ではなく、美容目的で医薬品を処方される「抜け道処方」が社会問題となっている。2018年春には処方の制限まで検討される事態に発展したが、これらは最終的に国民一人ひとりに跳ね返ってくる問題だ。解決に向けて市販薬メーカーが立ち上がった!

 

 抜け道処方の背景にあるのは、社会保障費に対する患者や医師の低いコスト意識。このうち代表的なのが、アトピー性皮膚炎などによる乾燥肌やしもやけ、火傷やケガのケロイド予防に使う「ヒルドイド」。「ヘパリン類似物質」を含む保湿用塗り薬で、医師の処方を必要とし、健康保険の適用対象だ。

国の医療費財政を圧迫

 しかしここ数年、女性向けの美容雑誌やウェブサイトを通じて、「美肌効果」や「アンチエイジング効果」があるという口コミが拡散。何万円もする高価な美容液に近い効果が期待されるとして、病気ではないのに皮膚科を受診し、健康保険を使って処方してもらう人の増加が問題になっている。

 

 診療データのまとめを行っている「メディカル・データ・ビジョン(MDV)」によると、ヘパリン類似物質が成分の塗り薬を処方された患者の数は、2017年までの7年間で1.5倍に急増。「健康保険組合連合会」が先月公表した分析によると、医療機関が健保組合に請求した診療報酬のうち、ヘパリン類似物質だけを処方された女性は男性に比べて、5倍以上多いという。

 

 国の健康保険財政を圧迫しかねないとして、厚生労働省が「ヘパリン類似物質を含むクリームは保険適用外」とする処方制限案を検討する事態に発展したが、今回は規制を見送りし、中央医療協議会に対して「治療以外の美容目的の処方は保険給付の対象外」だと通知するよう適切な対応を指示した。

ドラッグストアでも市販薬が買える

 それでは、これまで塗り薬の恩恵に預かっていた人はどうすればいいのか?乾燥肌が気になるこれからの季節、今すぐ病院に向かおうとした矢先にくじかれた出鼻を救うクリームが発売された。

 

 まずはマツモトキヨシが先月11日に発売した「ヒルメナイド」(50g/本体価格1186円)。一般的に市販されるヘパリン類似物質を含むクリームは、ほとんどが水性だが、「ヒルメナイド」は、医療用医薬品に近い油性クリームだから、質感は固めだが、皮膚の温度で溶けることで肌に浸透しやすくなるという。

 また今月1日には、MDVコンシューマ・ヘルスケアからも「オノフェHPクリーム」が登場(50g/同1200円)。440万人の診療データをもとに開発されたクリームで、バリア機能が低下した乾燥肌がキメの整ったなめらかな肌になると期待されている。

 

 ノバルティスファーマからは「HP」のブランド名でクリーム(60g/同2380円)やローションが販売されている。いずれもドラッグストアや薬局で購入できる市販薬であるうえ、病院で処方されるヒルドイドより安価に買えるので、消費者のお財布にも国家財政にとっても一石二鳥だ。

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