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カバとライオン ライバル同士が仲良く相席の謎 アフリカ

 大きな口にずんぐりした体、動物園で人気者のカバは、縄張り意識が非常に強く、相手がライオンであろうと立ち向かう気性の荒い動物だ。先月半ば、アフリカ・ジンバブエのサファリで、ライバル同士のカバとライオンが額を突き合わせるようにしてエランド(大カモシカ)の肉を分け合う珍しい光景が目撃された!

 

 ライオンとカバが仲良く相席という珍しい撮影に成功したのは、ジンバブエの首都ハラレに住むジョンさんと妻リンダさんのマレ夫婦。

 

 夫婦は10月半ば、ザンビアとの国境近くに位置する北部マーナー・プールズ国立公園に遊びに行った。宿泊先のロッジ近くで夕食を食べながらナイトサファリを楽しんでいたある晩、1頭のオスのエランドが暗闇を通り過ぎていくのを懐中電灯で確認。

次々に訪れる闖入者を追い払うライオン

 

 後ろ姿を見送った10分後、食卓から目と鼻の先で、先ほどのエランドと思われる絶叫が響き、猛獣の咆哮が後に続いた。夕食もそこそこにして、安全確保のために車の屋根によじ登り、喧騒がする方角にヘッドライトを当てたところ、光のなかに浮かび上がったのは、2頭のメスライオンと若いオスライオンがエランドに牙を立てる瞬間!


 

 エランドも黙って襲われているだけではない。体重900キロと、体の大きさならライオンのメスの約6倍、くわえて長さ65センチの角と優れた跳躍力を誇る。しかし3対1と多勢に無勢の戦いの結果、15分後には大地に倒れた。

 

 ライオンは血の匂いを嗅ぎつけてやってきたハイエナを追い払いながらさっそく食事を始めたが、そこへ50メートル先の川からノソノソとワニが登場。しかし、さすがのワニも陸の上ではハイエナたちから受けるしつこい攻撃に手も足も出ないようすで早々に引き上げた。

ワニは諦めた…でもカバは

 ところが次に現れたのはカバ!ハイエナの威嚇など何のそのとばかりに倒れたエランドに近づくと、うなりながら内臓を食い漁るライオンには目もくれずに、エランドのお尻あたりから流れ出る血を舐め始めたから見物人のふたりもびっくり仰天。

 

 当然ながらライオンは、大きな闖入者のふるまいに我慢できず、追い払おうと吠え声をたてたり、カバの頭部をピシャリと叩こうとしたが、まったく気にもかけなかったそうだ。ジョンさんとリンダさんがロッジに戻ってからも饗宴は続き、一晩中ライオンやハイエナの唸り声を耳にしながら眠りについたという。

草食動物が肉食する理由

 

 気になるのは草食動物であるはずのカバがエランドの死骸に興味を示した点だが、野生のカバが死肉を食べるようすは過去にも何度か報告されているという。南アフリカのイドゥベ野生動物保護区では2016年、密猟者を監視中のレンジャーがインパラの死骸をムシャムシャ食べているカバを目撃しているし、2013年にはライオンと一緒にヌーを食うカバが報告されている。

 

 専門家によるとカバの消化器官には肉を分解できる機能がなく、肉食するのは、深刻な干ばつの影響で栄養失調や病気になった場合、動物の肉を食べることがあるという。これはキリンやトナカイなどの草食動物にも見られる行動だそうだ。

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