環境

「これが−80℃!」南極観測隊が見せる極寒の世界 パスタが食品サンプルに

  “南極”と聞くと40代以上の日本人なら誰しも、奇跡の生存を果たした樺太犬タロとジロの物語を描いた映画『南極物語』がよみがえり、目頭を熱くさせることだろう。現在も、日本の昭和基地をはじめ、各国の観測隊がさまざまな研究観測を進めているが、フランスとイタリアの観測隊員がこのたび「俺たちがどんだけスゴイ環境にいるか見せてやるよ」と、ユニークな写真を公開した。

 

 この写真を公開したのは、南極高原のドームCと呼ばれる氷床にあるコンコルディア基地の隊長シプリアン・ヴェルソー(Cyprien Verseux)さん。分子生物学の博士号を持つフランス人ヴェルソーさんは、火星と似た環境を再現したハワイのドームで366日間暮らした経験をもとに執筆した『Vivre sur Mars(火星の生活)』の著書もある作家としての顔も持つ。

太陽が3カ月昇らない極寒生活で

 

 ヴェルソーさんたちが南極の基地で研究生活を始めたのは今年3月。5月から8月にかけては3カ月もの間、太陽が昇らない「極夜」が続いた。(極夜の長さは場所によって変わる。昭和基地では約45日、南極点では半年間)美しい星空やオーロラのほか、時には愛らしいアデリーペンギンに癒されるブログがガラリと変わったのは10月に入ってからだ。

 

 「南極の寒さマジ半端ねえ!」と10月1日に投稿されたのは、氷点下70℃の屋外で食べるパスタだ。空中に持ち上がったフォークから垂れ下がった麺がカチンコチンに凍りついたようすは食品サンプルそのもの。

朝食がすべて食品サンプル化

 

 なぜ屋外でわざわざ食事をしようと思ったのか、そしてパスタは麺だけでソースはかけなのか、イロイロ疑問は尽きないが、その翌日からも「バランスのとれた朝食」と題して、凍ったハチミツがかかった食パンや、目玉焼きを作る前にフライパンの上で凍った卵などの写真が続いた。

 

 1950年代当時、昭和基地に連れてこられたソリ犬15頭は、2頭をのぞくと全頭が氷の大地に眠っているが、ヴェルソーさんたちはまもなくこの生活から解放される。

 

 厳寒期は−80℃を下回る南極での生活について、「地上400キロにいる国際宇宙ステーションと比べたら、南極のほうがよっぽど科学や文明から孤立していると思うんだ」と述べて、「南極は地球上で体験できる火星や月の環境に最も近い。この研究生活で得たデータが宇宙開発計画に必ず結びつくと信じている」と期待で胸を熱くさせながら、きょうも凍った食事を食べている。

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