医療技術

中国「ゲノム編集の双子」誕生 大学「認知せず」批判高まる(動画)

 中国・広東省の南方科技大学の研究者は、今月生まれた双子の女の子の赤ちゃんの受精卵に、あらかじめ特定の遺伝子を改変させるゲノム編集を行っていた事実を明らかにした。父親がエイズウイルス(HIV)に感染していたことから、ゲノム編集でウイルスが細胞に入らないようにするのが目的だったとしているが、生命倫理の問題があるとして、科学者の間で批判の声が高まっている。

 

 問題になっているのは、南方科技大学の賀建奎(ハ・ジエンクイ)副教授。25日に賀氏本人が公開したYouTube動画によると、双子は数週間前に生まれた「ルル(Lulu)」と「ナナ(Nana)」と呼んでいる(仮名)女の赤ちゃん。

 

 具体的には、HIVウイルスに感染した父親の精子を使ってできた受精卵に、「CRISPR-Cas9」というゲノム編集技術を使って白血球の表面にあるたんぱく質「CCR5」の機能を改変することで、父親の精子から胚細胞にウイルスが入らないようにしたうえで、母親の子宮に戻したという。

 

 海外メディアの報道によると、賀副教授はこれまでに不妊治療中の7組の夫婦のためにゲノム編集を実施し、このうち妊娠出産に至ったのが今回の双子だという。いずれのケースでも父親はHIVウイルスに感染していたと主張しているが、所属する南方科技大学は26日、「賀副教授の研究は大学外で報告なく行われたことで、倫理と学問的規範に違反している」と声明を発表した。

 

 中国科学技術部のトップや細胞生物学学会の科学者も緊急声明を出して、批判の声を上げた。おりしも広州では26日から28日にかけて、幹細胞と再生医療に関する国際会議が開催中で、中国国内をはじめ、欧米から多数の科学者が集まっている最中だ。

 

 人間の受精卵や精子・卵子の段階で遺伝子を改変するゲノム編集をめぐっては、遺伝的な特質が子孫に受け継がれる可能性があることから、生命倫理や安全性に対する十分な議論が必要とされており、多くの国で法律によって規制されている。(下は、賀副教授が公開した双子誕生に関するYouTube動画/The He Lab

 

 

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