歴史

推定500匹!コクゾウムシが練り込まれた縄文土器が見つかる 熊本大

 北海道の渡島半島南部にある縄文時代の遺跡から、米の害虫として知られるコクゾウムシ約500匹を練り込んだ土器が発見された。熊本大学の発掘チームは「弥生時代に朝鮮半島から稲作と共に渡来したと考えられてきたコクゾウムシが、はるか昔から存在した」として、縄文文化を見直すきっかけになる発見だとみている。

 

 イネ科の穀物を食い荒らすことで知られるコクゾウムシは、ゾウの鼻のような口先で穀物に穴を開けて産卵する憎らしい害虫だ。工場や倉庫など貯蔵されている穀物を狙うことから「穀象虫」と名付けられている。(閲覧注意!コクゾウムシの動画は農研機構提供:ご覧になれない場合、Facebookで見るを選択すると見られます)

 

稲作が伝わる前にコクゾウムシがいた!

 熊本大学大学院の小畑弘己教授は2016年2月、北海道の福島町にある館崎(たてさき)遺跡で、縄文時代後期(約4500年前〜3300年前)の深鉢型土器を発見。土器の表面や断面にX線を当ててCT撮影を行った結果、417匹のコクゾウムシ成虫が練り込まれていることを突き止めた。土器に欠損がなく完全に残っていた場合は、500匹以上が練り込まれていた可能性があるという。

 縄文土器というと、一般的にはねじり合わせた繊維を表面に回転させて装飾させたものをイメージするが、小畑教授によると全国で発見される縄文土器からはこれまでにもコクゾウムシが多数発見されており、練り込まれた昆虫の9割以上がコクゾウムシだという。

 

 小畑教授が最初に縄文土器からコクゾウムシを見つけたのは2010年。種子島の遺跡から出土した約1万年前の土器だったことから、それまで考えられてきた稲の伝播より、はるかに昔からどんぐりや栗などを食い荒らしてきた害虫であることを突き止めた。さらに、2012年には青森県の三内丸山遺跡でもコクゾウムシを発見。寒い冬がある東北地方でコクゾウムシが生息していたことは、縄文人が食料を貯蔵していたことを示す証拠だと推定している。

 

 今回の北海道での発見は、本来、北海道には自生していなかった栗を三内丸山遺跡に代表される円筒土器文化圏の人たちが船で津軽海峡を越えて運んだ証拠である可能性にも結びつくとして、縄文時代や縄文文化を見直すきっかけになる重要な発見だとしている。

 

 なおこの研究成果は科学雑誌『Journal of Archaeological Science Reports』に掲載された。

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