宇宙

国際宇宙ステーションに「悪魔の耐性菌」トイレで発見 NASA

 国際宇宙ステーション(ISS)内のトイレで採取された細菌を分析した結果、抗生物質が効かず治療が難しいことから「悪魔の耐性菌(スーパー・バグ)」と呼ばれる「エンテロバクター属」の菌株が発見された。

 

 微生物学の国際誌『BMC Microbiology』に今月23日掲載された論文によると、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所のチームは、2015年3月にISS内のトイレと運動スペースから採取した5つの細菌の遺伝子解析を実施した結果、「エンテロバクター・ブガンデンシス」だと突き止めた。

 

 エンテロバクター属は水や汚水、糞便中に存在する大腸菌群の一種で、抵抗力が弱くなった集中治療室の患者が感染すると、深刻な症状を引き起こすおそれがある。

薬剤耐性菌がトイレと運動スペースに

 

 研究グループは、ISSで見つかったエンテロバクターは、タンザニアの新生児の血液や、米ワシントン州の病院に入院した赤ちゃんの尿、72歳の皮膚病患者の傷から見つかった3つの菌株に類似していることを確認。

 

 ゲノム解析の結果、抗生物質や毒性化合物に対する耐性を持つ遺伝子があることも判明。現時点で宇宙飛行士に危機が及ぶ心配はないが、「将来のミッションには健康上の配慮が必要だ」としている。

 

 この研究は、ISSのような閉鎖的な環境で微生物がどのように増殖するかを調べるのが目的。人間が生活するかぎり、いくら清潔を保とうとしても無菌状態にするのは不可能であることから、JPLでは定期的にサンプルを回収し、ISS内に存在する細菌の危険性を調べている。

 

 薬剤耐性菌が見つかったのは今回が初めてだが、今は無害に見える細菌が突然変異する可能性もある。さらに放射線量が高い宇宙空間で長い時間を過ごす将来のミッションでは、微生物の環境適応力や増殖力によっては感染リスクが高くなる危険もあるとしている。

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