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国産和牛を脅かす「受精卵の中国持ち出し」自称大阪府在住の男 刑事告発へ

 農林水産省は4日、法律で海外への持ち出しや海外からの持ち込みが禁止されている和牛の受精卵を、「自称大阪府在住」の男が今年7月、中国に持ち出そうとしていた事実を明らかにした。吉川貴盛農水相は会見で、この男を家畜伝染病予防法違反の容疑で刑事告発する考えを示した。

 

 事件は今年7月、液体窒素で凍結させた和牛の受精卵が入った管数百本を金属製の輸送容器に入れて中国に密輸出しようとした男が現地の税関で探知され、強制帰国させられたというもの。

 

 農水省動物検疫所によると、牛の精液や受精卵を海外へ持ち出す際には、動物検疫所で手続きすることが義務付けされているうえ、和牛に関しては輸出が禁止されている。背景には日本食の世界的な人気によって、豪州でも「WAGYU」ブランドが飼育されるようになったことから、日本生まれより安い外国産が中国や東南アジアの富裕層の間で高級牛肉として人気を集めているからだ。

本家日本産和牛を脅かす国

 海外への和牛輸出を規制する法律がなかった1997年〜98年、和牛128頭と精液1万3000本が米国へ輸出された結果、精液と受精卵が豪州へ渡り、豪州内でほぼ純粋な和牛の生産が開始された。日本では2000年の口蹄疫、2001年のBSE(狂牛病)発生によって、国内消費量が減少。海外で日本産牛肉の輸入禁止措置が続く間に、豪州産WAGYUが海外市場を席巻するようになり、本家日本産和牛が遅れを取った。

 

 仮に中国国内で「中国産WAGYU」が飼育されるようになれば、日本産の脅威になることは間違いなく、農水省やJA全農など国内の生産団体は一丸となって対策強化を進めている。

 

 吉川農水相は会見で「航空や船舶、税関へ注意喚起を要請するとともに、輸出者に対する刑事告発の手続きを進めていく」と述べて、再発防止策を強化する方針を示した。

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