生物

「きよしこの夜」目が見えないゾウ ピアノ演奏を聞く タイ(動画)

 牛や豚にクラシック音楽を聞かせると、リラックスできるので、肉の品質向上が期待できると言う説がある。実際、黒毛和牛の農家にはそれに近いことをやっている人がいると聞くが、はっきりした因果関係は不明だ。しかし、タイの動物保護施設では、ピアニストが年老いたゾウのために演奏を聞かせる試みが8年間も続いている。

 

 タイの首都バンコクから北西へ120キロ離れたカーンチャナブリ州ムアンカーンチャナブリー郡の「エレファント・ワールド」は、観光客の乗り物や伐採林の運搬役として何十年も働いてきたゾウや、病気になったり、虐待などにあったゾウばかり集めた保護施設だ。このうち最高齢は1930年に生まれた88歳のメスの「ノン・マイ(Nong Mai)」。ここを訪ねる人間は、もっぱらゾウをお世話するために、1日から数週間の奉仕活動のプログラムに参加できる仕組みだ。

英国からタイへ移住 ゾウに出会う

 英国ヨークシャー生まれのポール・バートン(Paul Barton)さん(57歳)は、ロンドンの国立美術学校で美術を学んだのち、コンサートで演奏するピアニストとしてキャリアをスタート。1996年に旅行先のタイで将来の妻となる女性と出会って以来、この地で20年間ピアノ教師として生活している。

 ポールさんは50歳の誕生日を機に、エレファント・ワールドのゾウのためにピアノを演奏しようと決心。アップライトを山の上の密林に運ぶのは、多くの人の協力やコストもかかるが、その苦労はゾウの喜びには代えがたいものだという。

 

 

 体が大きいゾウは、現役を引退したとはいっても一日中、大量の草や葉を食べる。しかし、彼が初めてベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」を奏で始めたとき、竹林にいたプララは、竹を食べるのを中断し、ポールさんの方をジッと見つめ始めた。

 

  かつて伐採林を運ぶ重労働についていたメスのプララは、木の枝で目を傷つけて以来、視力を喪失した年老いたゾウだ。「わたしは以前、視覚障害がある子供に2年間ピアノを教えた経験がありますが、ゾウの反応には、人間の子供と同じくらいの感動がありました。それ以来、ここでピアノを弾いているのです」とポールさん。

 

 ときにはポールさんのピアノに合わせて、集まってきたゾウたちが甲高い声で一緒に歌うこともあるという。ポールさんは「ゾウは音楽を楽しむ能力を持っている」と話す。

 

 今月14日に公開された動画では、62歳の盲目のメス、ラム・ドゥアン(Lam Duan)のために、『きよしこの夜』を演奏。ラム・ドゥアンだけでなく、仲間の2頭がそばに寄ってきて、大きな耳をパタパタとはためかせながら、クリスマスを祝う曲を楽しんでいた。心洗われる映像だ。

 

 あなたにオススメの記事