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セアカゴケグモそっくり!噛まれた男性 尿が出なくなる カナダ

 ヒアリやセアカゴケグモなど、外国からの貨物に紛れて国内に侵入し、生態系や人の生命・健康、農作物などに被害を及ぼす生き物を外来生物という。近年は温暖化の影響で、高緯度域にも熱帯域や亜熱帯の生き物が棲みつきやすくなっているが、カナダでは猛毒の「クロゴケグモ」に噛まれた男性が、オシッコが出なくなってしまった。

 

  英ケンブリッジ大学出版局が発行する学術誌『ケンブリッジ・コア』に掲載された症例報告によると、カナダ東部オンタリオ州に住む50歳の男性は、コテージの周りの茂みを散歩している最中、カナダ国内では珍しいクロゴケグモに気づいた。

セアカゴケグモとそっくり

 クロゴケグモは「Black Widow=黒い後家」という英語名どおりで、全体は黒く、背中に赤い斑紋があるところはセアカゴケグモにそっくり。それもそのはず、どちらも同じヒメグモ科で、メスの方が大きく、寿命も長い。

 

  クモに気づいた男性は、すぐさま打ちはらって殺したが、その2時間後に足に激痛が走り、どんどん痛みが強くなった。そのうち、痙攣が起こり始めたので、救急搬送された。痛みを訴える患者をみた救急医は、尿路結石が原因だと診断。いったん自宅に帰らせたが、その後、さらに腹痛が激化したため、さらに大きなオタワ病院に転院。

 

   到着した患者は両目のまぶたが腫れ上がり、血圧は高く、汗を大量にかいていた。CTスキャン検査の結果、膀胱がパンパンに膨れているのが判明。男性は膀胱内に尿がたくさん溜まっているのに排尿できない「尿閉」の状態に陥っていた。

米国では死亡例も。日本には2000年から

 男性の訴えを聞いたマシュー・カレレ医師は、クモに噛まれた傷跡はないか全身をくまなく調べたが、見つからなかった。クロゴケグモやセアカゴケグモの毒には「α-ラトロトキシン」をはじめとする毒素が含まれていて、血圧上昇や筋肉の痙攣、全身の痛みや幻覚症状を引き起こすとされる。

 

  患者には抗毒製剤が投与され、尿道から膀胱にカテーテルを通して尿を排出させたところ、2日後に退院。医師は「もともと良性の前立腺肥大症を患っていたことから、毒素によって尿閉状態を引き起こしたのではないか」と指摘したうえで、「カナダには本来あまりクロゴケグモがいなかったのですが、気候温暖化によって、生息地が北に広がっている可能性がある」と話している。

 

  北米原産のクロゴケグモは、2000年に山口県の米軍岩国基地で発見されて以来、基地外でも繁殖が広がっている。環境省や東京都環境局によると、2018年4月現在、国内では滋賀県も含め、3都県で発見されている。原産地の米国南部やメキシコでは被害が多発しており、これまでに1726人が噛まれ、55人が死亡した報告がある。

 

 日本では先に見つかったセアカゴケグモの方が有名だが、クロゴケグモも要注意だ。ベンチや自動販売機、エアコンの室外機の下や排水溝のふた、外に出しっ放しのサンダルの中に潜んでいることが多いという。

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