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キューバの米大使館員に対する「音響攻撃」正体はコオロギだった!

 キューバの首都ハバナにある米国大使館では、2016年秋ごろから外交員らが相次いで、聴覚障害などを訴えていたが、このほど原因が明らかになった。コオロギが発する音波によって体調不良を引き起こしていたという。

 

 この問題は在キューバの米国大使館員らや家族が2016年秋ごろから、次々に原因不明のめまいや耳の痛み、難聴などを訴え、なかには軽度の外傷性脳損傷と診断されたものもいた。国務省によるとこれまでに26人が被害を受けて帰国を余儀なくされ、米国で治療を受けたあとも難聴の症状が長引いたために、キューバへ戻ることができなくなった外交官もいた。

 

 現地メディアの報道によると、被害はカナダの外交官にも広がり、米政府高官のなかには「キューバ政府による音波兵器が原因」だと考える者もいた。米政府は第3国による報復か、キューバとの関係悪化を目論むために攻撃を仕掛けている可能性もあるとみて、原因究明を急いでいたが、サンフランシスコで開催された統合生物学会の総会でこれまでの調査結果が発表された。

 生物学や医学研究を専門とするコールド・スプリング・ハーバー研究所が発行する研究誌『bioRxiv』に今月4日に掲載された報告書によると、カリフォルニア大学バークレー校のアレクサンダー・スタッブス研究員らのチームは、キューバの大使館内で録音された音を分析した結果、西インド諸島が原産の「アヌログリルス・セレリニクトス(Anurogryllus celerinictus)」というコオロギが繰り返す音の周波数と酷似している事実を明らかにした。

 

 大使館員らが悩まされた正体は、1秒間に7000回振動する周波数7キロヘルツの音だった。野外で鳴いているコオロギの音を大使館内にあるスピーカーで再生すると、天井や壁、床に跳ね返って不規則な音響効果をもたらすという。

 

 研究者らは「音波が人体の健康にどのような影響を及ぼすのかについては、更に詳しく調べる必要がある」と述べて、音波兵器の存在を否定した。

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