地震

南海トラフのスロースリップ地震「プレート内の水で滑りやすくなる」

 

 日本列島の下に沈み込むフィリピン海プレートの境界で発生するスロースリップ地震について、産業技術総合研究所や広島大学などの共同グループは、「プレート境界付近に水が大量にあると、摩擦が減って、地震が発生しやすくなる」可能性を明らかにした。

 

 伊豆半島の駿河湾から宮崎県東方沖の日向灘にかけて連なる南海トラフでは、今後30年以内に70〜80%の確率で巨大地震が発生する可能性があるとされており、近年、スロースリップがひんぱんに観測されるようになった。

南海トラフの地震には応力が異なる

 産総研の大坪誠主任研究員や広島大大学院の片山郁夫教授らのグループは、南海トラフの深さ30〜70キロを震源とする地震を解析。その結果、プレート内に作用する力の大きさや向き(応力)が場所によってばらつきがあることを発見した。

 

 プレート内にかかる力の向きを調べたところ、フィリピン海プレートからユーラシアプレート下のマントルに向いていることを突き止めた。

 

 これは、プレート内部を流れる水の量と関係していて、沈み込むフィリピン海プレートから放出される水と、プレート境界付近に溜まっている水の量が多いと、岩石同士の摩擦が減って滑りやすくなるため、スロースリップが発生しやすくなるという。

深部探査船で海底下を掘削中

 実際に、フィリピン海プレート内の水の量が多い海域では、水に含まれるヘリウム量の分析から、地下のマントル成分を含んだ熱水が確認されており、今回の研究成果を裏付けている証拠となっている。

 

 グループは昨年10月から、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深部探査船「ちきゅう」を使って、紀伊半島沖の海底下約5200メートルの掘削を進めている。プレート境界付近の岩石を採取し、水の動きについて詳しく研究を進めていく計画だ。

 

 あなたにオススメの記事