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世界初!一卵性でも二卵性でもない「第三の双子」豪州で誕生

 双子は通常、同じ遺伝子を持つ「一卵性」と、遺伝子が異なる「二卵性」の2つのパターンがあることで知られる。前者は、一組の卵子と精子が受精したあとに分裂するため、性別や血液型などは基本的に同じものだ。

 

 一方、異なる二組の受精卵から誕生する二卵性双生児は、それぞれが独自の遺伝情報を持つため、性別や血液型が異なる場合もあり、言わば同時に生まれてくるきょうだいと同じことだ。ところが、オーストラリアで生まれた男と女の双子は、ひとつの卵子にふたつの精子が同時に受精した世界でも極めて珍しいケースなのだ!

 米マサチューセッツ内科外科学会が発行する医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に先月27日付で発表された報告によると、豪ブリスベンの健康生物医学革新研究所(IHBI)で2014年、1組の男女の双子が誕生した。

 

 母親が妊娠6週目に胎児の超音波検査を行った際には、胎盤がひとつ、羊水が入った羊膜腔(ようまくこう)の位置から一卵性双生児だとばかり考えられてきたが、14週目には片方は男の子、もう片方は女の子だと判明。診察室に混乱を招いた。

 

 そこで臨床遺伝学者のマイケル・ギャベット(Michael Gabbett)医学博士が呼ばれ、母体内の羊水検査を実施し、胎児の遺伝情報を解析。その結果、双子は母親のDNAは100%一致しているが、父親については78%しか一致しないことがわかった。

双子の遺伝子は…

 ギャベット医師は、「ひとつの卵子が同時にふたつの精子を受精した可能性がある」と推測。

 

  その後、母親からのひとつの染色体と、父親からのふたつの染色体が3つの細胞に分裂。両親の染色体を受け継いだ2個の細胞は生き残ったが、精子からの染色体しか受け取らなかった3番目は生存できず、残るふたつの細胞が結合して、双子が生まれたのだと考えている。

細胞にはふたつの性染色体が

 そのうえ、現在4歳になる男女の双子は、どちらもXX(♀)とXY(♂)の2種類の細胞をあわせ持っているというから驚きだ。

 

 ギャベット医師によると、体内のさまざまな細胞にオス・メス2種類の性染色体があるということは、生殖器官の発達にも影響を及ぼす可能性があり、実際に女の子の方は出産直後に血栓が見つかったため、腕の血行が阻害され、切断を余儀なくされた。さらに卵巣にはがん細胞も見つかったことから、卵巣の摘出手術を行ったという。

 

 一卵性でも二卵性でもない双子のことを、どちらにも分類できないとして、「準一卵性双生児」 (semi-identical twins) という。2007年にアメリカで初めて生まれたことが科学誌『ネイチャー』で発表されたが、妊娠中に判明したのは今回が世界で初めてだ。

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