医療技術

リアル・ピノコ!赤ちゃんの体内に双子の片割れ…コロンビアで「胎児内胎児」誕生!

 手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に登場する少女ピノコは、本来は双子として生まれるはずだったが、姉の腹の中のコブ(奇形嚢腫)に入っていた人体の組織をブラック・ジャックが組み合わせて生まれたキャラクターだ。

 

 南米コロンビアで、先月下旬に生まれた女の赤ちゃんは、お腹のなかに双子の片割れがいることが判明した!

 

 この赤ちゃんが生まれたのは、コロンビアのバランキージャにある医療機関「CEDIUL」。この病院は、リスクが高い妊娠や出産を専門としている。

 

 産科のミゲル・パラ=サーヴェドラ(Miguel Parra-Saavedra)医学博士が、赤ちゃんの母親であるモニカ・ヴェガさん(33歳)を最初に診察したのは妊娠35週目。出産まで5週間の時点で、モニカさんの担当医から「胎児の肝臓に嚢胞(のうほう)がある」と報告を受けた。

肝嚢胞?超音波検査の結果

 肝嚢胞とは、肝臓のなかに液体がたまった袋ができる病気で、一般的な人間ドックや健康診断の超音波検査でも見つかることがある。嚢胞自体は良性のため、とりたてて深刻な症状はないものの、数が増えたり、巨大化すると周囲の臓器が圧迫されて、呼吸困難や運動制限などの影響を及ぼす場合がある。

 

 そこでパラ=サーヴェドラ医師は、超音波のドップラー現象を利用して血流を調べる「カラードプラ法」と、動く胎児を立体的が立体的に見られる「3D/4D超音波検査(エコー)」の二通りで検査した結果、胎児のお腹の中にある小さな嚢胞の中にさらに小さな胎児が存在していて、へその緒でつながっていることがわかった!

 

 医師から説明を受けたモニカさんは「なんですって?ありえないわ、先生、わからない」と動揺したが、段階を追って説明すると、次第に落ち着きを取り戻したという。

赤ちゃんのお腹に5cmの双子が

 妊娠37週目に入った2月22日、モニカさんは体重3175グラムの女の赤ちゃんを出産。自然分娩の場合、嚢胞内の胎児が赤ちゃんの内臓を傷つけるおそれがあると判断し、帝王切開を行った。

 

 イザマラ(Itzamara)と名づけられた女の子は誕生の翌日、腹腔鏡を使った手術で、体の中の双子の片割れを摘出した。パラ=サーヴェドラ医師によると、双子の大きさは5センチ余り、頭と手足はあったが、心臓と脳は欠けていたという。

確率は「50万人に1人」

「奇形嚢腫」とか「胎児内胎児」などと呼ばれるこの症例は、通常、髪の毛や骨、筋肉の組織を含んだ腫瘍だと診断されることがほとんどだが、DNA検査の結果、イザマラと同じ遺伝子を持つ一卵性双生児であることがわかった。

 

 専門家によると、胎児内胎児は50万人に1人の割合で発生すると考えられており、歴史上、最初の報告は1807年までさかのぼる。2015年には45歳の女性が左の卵巣から腫瘍を摘出する手術を受けた際に、内部から顔や目、歯、長い髪の毛が出てきたという症例が報告されているが、近年では超音波検査技術の発達によって妊娠中に見つけることができるようになった。

 

 パラ=サーヴェドラ医師は米ニューヨーク・タイムズの取材に対して「赤ちゃんはお腹に少し傷ができましたが、順調に育っています」と話しているという。

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