環境

北極に異常事態!「磁場が急速に移動」ナビシステム変更も…

 スマホの位置情報から、カーナビや航空機、船舶の航行システムまで、地図データと衛星通信を利用したGPSは、現代生活になくてはならないシステムになっている。

 

 ナビゲーションシステムの大本を担うのが「世界磁気モデル(WMM)」。地球の自転軸の最北端である北極点は普遍だが、方位磁石が示す「北」は、地球の磁場(地磁気)によって少しずつ変化しており、通常5年に1度のペースで見直され、更新される決まりになっている。

 

 ところが最近になって、想定外の速度で急激に移動していることから、今年2月、予定を前倒しして世界磁気モデルを更新せざるを得ない事態になった!

磁場の動きが活発化

  地球の磁場は、少なくとも40億年前には発達したと考えられており、太陽から吹きつける強力な太陽風を跳ね返す役割を担っている。近年、北半球では磁場の動きが活発化しており、北西方向へ加速度的に移動している。

 

 1831年にカナダ北部で発見された北磁極は、当初は年間15km程度で移動していたが、1990年代中ごろから加速し、2001年〜2003年には年間41kmに、2018年には年間55km前後となって日付変更線をまたいで東半球へ到達。現在はまっすぐシベリアに向かって移動中だ。

 

 これを受けて、世界磁気モデルの変更を余儀なくされたわけだが、本来のモデルは、前回更新の2015年初頭から2020年末まで使用されるはずだったというから、予定より1年以上前倒しになったわけだ。

カナダ直下に鉄のジェット噴流?

 磁極が移動するのは、地球中心部で動くドロドロに溶けた鉄の液体が原因だ。内部ですごい勢いで回転する液体鉄によって磁場が生じ、その動きが変化すると、磁場にも影響する。例えば、2016年には南米北部と太平洋東部の地下深くで、磁場の一部の変化が一時的に加速することが欧州の地磁気観測衛星SWARMなどによって確認された。

 

 このときの変化は、世界磁気モデルが2015年に更新された直後だったことも不幸だった。今回の発表は、2015年モデルの修正版にあたる。

 

 科学者たちは、磁極がこれほど劇的に変化する理由の解明にも取り組んでいる。英国リーズ大学の研究者は2017年に発表した論文で、「カナダ直下にある液化した鉄のジェット噴流が存在する」ことを突き止めており、このジェット噴流によってカナダの磁場が弱まっている可能性を指摘している。

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